
お世話になっております。
TCFタイの高橋です。
今回のトピックでは、BOI(タイ投資奨励委員会)の奨励を受けた場合のメリット、及び留意点を見ていきたいと思います。
まずご存知の方も多いと思いますが、BOIとはタイ国外からの投資促進のための投資インセンティブの1つとなります。BOIを取得し、事業を行った場合の主なメリットは下記の内容が挙げられます。
① 外資の出資割合
タイに販売会社や、サービス業の会社を設立する場合は、外国人事業法の規制により、外国資本の出資割合が49%以下に制限されます。しかし、BOIの奨励を受けることができれば、ほとんどのケースで外国資本100%での参入が認められます。親会社での連結決算の都合上等で外資100%の必要がある企業にとっては、重要な恩典となります。
② 土地の取得
タイでは土地法の規制により、外国資本49%超の会社が土地を取得することはできません。
※タイの土地法では株主や取締役の人数などによる規制もあるので留意が必要です。
しかし、BOIの認可を得ることができれば、外国資本49%超の会社であっても土地を取得することが可能となります。
③ 税制面での待遇
BOIの認可を取得できれば、法人税や関税についての減免を受けることができます。
※ただし、取得業種によってはBOIと歳入局両方の認可が必要な恩典もあるため、留意が必要です。
④ 外国人の雇用に関して
通常、外資の割合が49%以下のタイ法人の場合、外国人1人につき、タイ人4名の雇用が原則として必要となりますが、BOIの認可を得た場合、1:4規制は考慮する必要はなく、申請の段階で認可された外国人をタイ人との人数比に関わらず雇用することが可能となります。
また、上記メリットだけを見れば、BOIを獲得することにメリットしかないように思われますが、考慮すべき留意点もあります。
① 利用できる業種の範囲
BOIの奨励は、タイ国にとってメリットがある事業に対して認可されます。従って、新技術の導入や雇用の拡大、外貨の獲得、ASEANのハブとなる機能を持つ企業、などBOIの趣旨に適う企業である必要があります。また、原則としては、認可された業種内容しか行うことができないため、一般的なタイ法人に比べ企業行動内容は制限されてしまいます。
② 報告義務の増加によるコスト増
BOIの認可を受けた場合、認可を受けた通りの事業に沿って、活動を行っているか報告義務が発生します。例えば、通常の決算であれば財務諸表を作成すればよいのですが、BOI認可を受けた企業は生産報告書や、BOI事業と、Non-BOI事業に分けた税務申告書の提出が必要となります。また、BOIへの提出義務であるBOIレポートに関しては、2018年1月より改訂があり、2017年までは、完全操業報告書の提出以前は、取得月より、6か月目、1年、2年、完全操業報告書提出後は、毎年7月末までとされていましたが、2018年1月より、完全操業報告書提出以前は、毎年2月と7月での提出、提出後は毎年7月での提出と定められました。進捗報告及び財務状況と事業活動報告の規定に順守しない場合にはBOI奨励が停止され、2回連続で提出されない場合には、BOI恩典の停止と奨励証書の取り消しがされる可能性があるため、留意が必要となります。
以上より、業種によっては大きなメリットとなるBOIの奨励ですが、逆に工数やコストだけがかかってしまう場合も起こり得るため、申請をお考えの方は、一度専門家への確認をお勧めいたします。
また、次回は実際のBOIの申請手続きに関して説明していきたいと思います。
また弊社では、このような実務セミナをー2か月に一度無料で行っておりますので、
気になった方は是非一度お声がけ頂ければと思います。
以上、その他質問事項等ございましたら、お気軽にご連絡いただければ幸いです。
高橋 周平