源泉税の実務上の取扱い

税務

こんにちは、フィリピン駐在員の大橋です。

 

今週のブログはフィリピンにおける源泉税の実務上の取扱いについて書かせて頂きます。

 

フィリピンの税務上の取扱いで非常に重要なのが源泉徴収、特に拡大源泉税(Expanded Withholding Tax)と言えます。

 

日本と異なり、源泉徴収となる対象が多く、また税率も異なるため注意が必要となります。

例えば、フィリピンの上位2万社に指定された会社に対して売上を上げた場合、商品なら売上額の1%、サービスなら2%が源泉徴収されます。

また、不動産の賃貸料なら5%、建設業や運送業なら2%、専門家報酬やコンサルティングファーム・サービスなら10~15%等と、それぞれの売上の性質によって課される源泉徴収があります。

 

顧客から源泉税を差し引かれて入金があった場合には、当該源泉税は法人税の前払いとして、申告時に税額控除が可能となりますが、源泉徴収額を証するForm2307を入手していない場合には、当該入手されていない源泉税に関しては、税額控除が出来ないので留意が必要となります。

 

実務上は、取引先等から期末時に一括請求するのではなく、入金の都度発行を依頼する事が肝要です。

 

また、原則は、源泉漏れの費用に関しては、法人税法上、全額損金不算入となります。

 

以前は、BIRの税務調査時に源泉漏れを指摘された費用に関しても、申告漏れの源泉税及び延滞税等の付帯税を支払う事で、当該費用の損金性が認められることもありましたが、2013年7月にBIRが発行したRR No.12-2013により、税務調査開始後に未納分の源泉税等を支払ったとしても損金性は否認されることが明確化されていますので、注意が必要です。

源泉漏れが指摘された場合は、源泉税だけでなく、法人税の追徴税額及び25%のサーチャージ・年利20%の延滞税等が発生することになります。

 

加えて、フィリピンの税務調査の時効は、各課税期間の確定申告若しくは実際の申告日のいずれか遅い日から起算して3年(不正行為があった場合には10年に延長)となりますが、税務当局が指摘する時期における源泉税の申告が過小である為、3年の時効ではなく、10年の時効が適用される判決も下されています。

 

上記事例などを鑑みて、企業側は適正なタイミングでの源泉徴収や申告、また源泉徴収表の受取り等の事務処理を行うことが重要となります。

 

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

以上

 

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