日比租税条約について②

税務

新年明けましておめでとうございます、フィリピン駐在員の田辺です。

大晦日の夜からカウントダウンにかけて、フィリピンの町の至る所から打ち上がる花火には悪霊を追い払って幸運を呼び込むという思いが込められていたと、今年初めて知った私でございます。「笑う門には福来る」という言葉に込められた思いと似たものを感じつつ、花火が大好きな私としては本当にお腹いっぱいに花火観賞を楽しむことができました。

大晦日の花火の盛り上がりの影響で、お正月の朝は町全体が花火の煙で「もわー」と煙っておりました。花火や爆竹の暴発でけが人も多数出たと聞きますし、どこまでいっても荒削りで陽気なフィリピンの方のパワフルさには、いつも驚かされてばかりです。

今週は、前回のブログに引き続き日比租税条約についてお話をさせて頂きます。

日比租税条約が関係する場面で、フィリピン法人から日本の法人への利子や配当、ロイヤルティ等の支払がありますが、租税条約適用前後の源泉税の税率は以下のようになります。

課税所得

基本税率

日比租税条約

日比租税条約の
根拠条文

Business Profit
事業の利得

30%

0%(日本で課税)

7条

Profit from Shipping and Air Transport
船舶又は航空機の国際運輸によって取得する利得

2.5% on gross billings

1.5%

8条

Dividend Income
配当

30%

10% (or 15%)
※1

10条

Interest Income 
利子

20%

10%

11条

Royalty Income
使用料

30%

10% (or 15%)
※2

12条

Gains from  sale of shares of stock not traded on the exchange
株式譲渡益

5-10%

0%(日本で課税)

13条

Income from Services
自由職業その他の独立の性格の活動について取得する所得

30%

0%(日本で課税)
※3

14条

Other Income Earnings
その他の所得

30%

0%(日本で課税)

22条

Remittance from branch office to parent company
フィリピンの支店から日本の親会社への利益送金

15%

10%

10条

 

※1:配当の受益者が、当該配当の支払の日に先立つ6箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式又は発行済株式の少なくとも10%を直接に所有する法人である場合には、当該配当の額の10%。その他のすべての場合には、当該配当の額の15%。(日比租税条約10条2項a.b.)

※2:使用料が、映画フィルムの使用又は使用の権利及びラジオ放送用又はテレビジョン放送用のフィルム又はテープの使用又は使用の権利に対して支払われるものである場合には、当該使用料の額の15%。その他のすべての場合には、当該使用料の額の10%。(同条約12条2項a.b.)

※3:日本の居住者が、自己の活動を行うため通常使用することができる固定的施設をフィリピン国内に有せず、かつ、その者が当該年を通じ合計120日を超える期間フィリピン国内に滞在しない場合に限る。(同条約14条1項)

 

その他、日比租税条約に関する詳細は以下URLをご参照下さい。
参照URL:日比租税条約原文(新旧比較):
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty166_8sa.pdf

なお、源泉税の基本税率に関する根拠条文は以下のようになっています。
参照URL:NTRC(国立租税研究所)PDFファイル42ページ
http://www.ntrc.gov.ph/files/Chapter-I-Income-Taxes.pdf 

参照URL:REVENUE REGULATIONS NO. 15-2013 SECTION 4. INCOME TAX. 4.1
hftp://ftp.bir.gov.ph/webadmin1/pdf/75519RR%2015-2013.pdf

来週のブログでは、租税条約適用申請(TTRA:Tax Treaty Relief Application)についてお話をさせて頂こうと思います。

本年も、何卒宜しくお願い申し上げます。

以上 

 

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