こんにちは、フィリピン駐在員の大橋です。
今週のブログはフィリピンにおける移転価格税制の概要について書かせて頂きます。
フィリピンでは2013年に移転価格税制に関する規則(Revanue Regulations No.02-2013)が発布されており、原則、文書化が必要とされていますが、関連者間の定義や実施にあたり基準などは不明確なのが現状です。
フィリピン移転価格税制の特徴としては、以下の3つです。
■クロスボーダー取引に関わらず、国内での関連会社間取引にも適用される
→フィリピンの場合、BOIやPEZAのような優遇税制を受けている企業と一般企業との取引が関連者間取引である場合は、当該移転価格税制のガイドラインが適用されます。
■移転価格算定については、OECD移転価格ガイドラインに準ずる
→フィリピンにおいても独立企業間価格の算定方式などは、OECD移転価格ガイドラインを適用する考え方に準ずることになります。
■同時文書化(Contemporaneousness)が要求されている
→原則、各年度の税務申告期限前に毎期文書化が必要となります。
現状としては、BIR(税務当局)が税務調査を行う際に指摘した事例は稀となっておりますが、いつBIRが厳しくなるかの見通しはつきません。
また今後、フィリピンにおける移転価格リスクが想定される状況としては、特にフィリピン子会社において関連会社間取引の全体の占める割合が大きい企業や、利益率が同業他社より低い又は赤字が続く企業である場合、又は親会社へのロイヤリティ-やサービスフィー等が多額に支払われている場合が挙げられます。
対策としては、取引開始前にあたり取引価格設定する際に、移転価格税制の観点を考慮した上で、価格の妥当性を証明できる文書を用意しておくことが望ましいかと存じます。
余談ですが、インドネシアでは2016年より移転価格における文書化が義務付けられました。近い将来、フィリピンでも訪れる日はそう遠くないように思います。
今週も、どうぞよろしくお願い致します。
以上