税制改正を受けて個人事業主に係る税率の変更点②

税務

皆さん、こんにちは。

フィリピン・マニラの近石です。

 

先週に引き続き今週のブログでは、2018年より税制が変更され、その中でも特に個人事業主の方への税務内容の変更箇所をご説明させて頂きます。

 

 先週もご説明させて頂きましたが、個人事業主の方は特殊な場合BIRへのVAT登録が必要になります。具体的にVAT登録が必要となるのは下記の場合となっております。

 

・総売上高が300万PHPを超える場合

 

VAT登録が必要になる場合の事業所得税の計算方法は、課税対象事業所得に対して下記の累進税率が適用され、さらに総売上高に対して12%のVATを加えた額が事業所得税となります。

 

上記以外の場合、BIRへのVAT登録は必要なく、事業所得税として申告・納付する額の計算方法は下記の2つの方法から選ぶことが可能ですが、一度選ばれた方法の変更は認められておりません。

 

(イ)

総売上高とその他の収入額の和のうち250,000PHPを超えた額に対して、8%の税率を適用して申告額を計算する方法

(ロ)

課税対象事業所得に対して累進税率を適用したものと、総売上高に対して3%のPercentage TAXを適用したものの和により申告額を計算する方法

 

課税対象事業所得の計算方法は昨年まで適用されていた方法と同じく、下記の2通りの計算方法がございます。

 

オプション1.                  オプション2

総売上高       ××                         総売上高       ××

売上原価      (××)            オプション標準控除   (××)

課税対象事業所得   ××             課税対象事業所得   ××

 

また、今年から適用されることとなる累進税率の新しいブラケットは下記の通りとなります。

 

Taxable Income

Rate (Jan 1.2018 to Dec. 31,2022)

Php 250,000 or less

0%

Over Php 250,000 to Php 400,000

20% in excess of Php 250,000

Over Php 400,000 to Php 800,000

Php 30,000 + 25% in excess of Php 400,000

Over Php 800,000 to Php 2,000,000

Php 130,000 + 30% in excess of Php 800,000

Over Php 2,000,000 to Php 8,000,000

Php 490,000 + 32% in excess of Php 2,000,000

Over Php 8,000,000

Php 2,410,000 + 35% in excess of Php 8,000,000

 

ここで2つの具体例をご用意いたしましたので、この機会に個人事業主に対する申告額の計算方法の理解を深めて頂ければと思います。

 

総売上高が250万PHP且つ(イ)を選択した場合

300万PHPに満たない為、BIRへのVAT登録は必要ございません。また、(イ)を選択するので250,000PHPを超える2,250,000PHPに対して8%の税率が適用され、180,000PHPが申告・納付額となります。

 

総売上高が350万PHPの場合(オプション1を利用)

300万PHPを超えるためBIRへのVAT登録事業者としての登録が必要になります。

また、売上原価として100万PHP掛かった場合、課税対象事業所得は250万PHPとして計算されます。この金額は上記ブラケットより、「Over Php 2,000,000 to Php 8,000,000」に該当するので、下記記載の額が申告・納付する額となります。

 

Php 490,000 + Php 500,000 × 32% = Php 650,000

 

 

 また、個人事業主のSECへの監査報告義務につきましては、昨年までと同じく四半期売上につき、15万PHPを超える超える場合に監査報告の義務が生じます。

 

先週と今週の2週間に渡り、今年の税制改革を受けて個人事業主の申告額の計算方法や、新たな税率をご説明させて頂きました。この機会に理解を深めて頂けましたら幸いでございます。

 

 

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

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フィリピン国 マニラ駐在員

近石 侑基

 

 

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