こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。
先日フィリピン日本人商工会議所主催のセミナーに行ってきました。こちらに長くいらっしゃる講師の方の話によると、現在のフィリピン・マニラの治安はあまりよくないとのことです。
ただ、ひとことマニラと言っても指し示す地域は広く、ビジネスの中心地マカティ市では凶悪な犯罪は少なく、観光地の多い海沿いの地域などが比較的治安がよくないようです。
11月には雨季が終わり、2月くらいまでは比較的涼しく雨の降らない旅行シーズンになるので、フィリピン・マニラを旅行される方々には事件事故に巻き込まれないよう注意して頂き、楽しい時間を過ごしていって頂きたいと思います。
それでは、今週も先週に引き続き個人所得税についてお話をさせて頂きます。
●フィリピンにおける所得税額の計算
フィリピンにおける所得税計算については、下図の手順により計算します。
【所得税計算の流れ】
まず、その年におけるすべての収入から、課税される収入(所得)と非課税とされる収入(所得)とを区分する必要があります。
以下において、課税される収入及び非課税収入、経費控除、分離課税の収入について述べていきます。
●課税対象となる所得の範囲
所得税額の計算上、課税対象となる所得は以下の区分に分類されます。このうち、配当や利息、資産の売却益(キャピタルゲイン)は、源泉分離課税が行われます。
・資産の売却益(キャピタルゲイン)
・利息
・家賃収入
・使用料
・配当金
・その他の収入
また、収入であっても、所得税法上課税されないと規定されている主な「非課税所得」については、以下の通りです。
【非課税所得】
・生命保険金 | ・雑品目(Miscellaneous Items) |
・生命保険の返金保険料 | ・外国政府からの収入 |
・贈与又は遺贈財産 | ・国内政府及び地方自治体からの収入 |
・損害、疾病補償金 | ・褒賞金 |
・租税条約に基づく非課税所得 | ・租税法により認められた賞金 |
・満期5年以上の債権の売却益 | ・投資信託の償還益 |
・「合理的退職金制度(reasonable private benefit plan)」に基づく退職金 ※ただし、勤続10年以上かつ退職年齢50歳以上に限ります |
・13th month pay(13ヶ月手当)及びその他の利得で、30,000ペソを超えないもの(現物給与等を含む) ※13th month payとは1カ月分の給与に相当する賞与等のことで、支払いが使用者に義務付けられています |
・死亡、疾病、身体的障害等、不可抗力の事態が原因で退職する場合に、事業主から受領する金額 |
●経費として控除できる費用
所得税が課税される所得金額については、収入金額から、その収入を得るために支出した金額を控除して算出します。
ただし、給与所得のみの納税者に対しては、この経費控除は認められていません。収入金額から控除することができる経費の金額は以下のような費用になります(1997年租税改正法、第7章、34項)。
・税金
・天災等の損害による損失
・慈善寄付金
・年金信託
また、納税者は総売上高又は総収入の40%を超えない額を経費とみなして控除する、選択制定額控除制度を採用することもできます。当該制度を選択する場合は、確定申告の際に当該制度を選択する旨を申告書に記載する必要があります。
この続きとして、来週は所得金額の計算、税率、確定申告、源泉徴収についてお話をさせて頂きます。
今週も宜しくお願い致します。
以上