フィリピン移転価格税制に関連する新ルール発表!-Part.6

税務

こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン進出のイロハ】

No.111<フィリピン移転価格税制に関連する新ルール発表!-Part.6>

 

今、最もホットなフィリピン移転価格税制をテーマに記載していきます。

今回は、「7月8日付けの歳入規則RR No. 19-2020が出された背景は何か?」です。

 

一言でいえば、“税務調査の強化による税収確保”となります。

 

従前、フィリピンでは移転価格に特化した税務調査は行われず、一般的な税務調査が頻繁に実施されてる状況が続いていました。

 

しかし、2019年8月の移転価格調査ガイドラインに続いて、今回の歳入規則の発表によって、

今後はBIR(税務署)では、納税者と関連当事者との取引、つまりフィリピン法人で「収益の過少計上・費用の過大計上がないか」(アームズ・レングス原則で行われているか)の調査を行うと規定されており、今後の移転価格調査が本格化する動きが高まっています。

 

実際に、2019年までは税務調査時に“Transfer Pricing”という言葉を税務担当官から聞くことは皆無でしたが、2020年の税務調査では、口頭ベースで日本親会社との取引に関する価格設定“Transfer Pricing”について聞かれることがありました。

 

フィリピンの税務調査は、税務担当官からの指摘事項に対する立証責任・反証義務は、納税者側にあります。

つまり、移転価格の指摘を受けた際には、関連者間取引が独立企業間価格であることの立証する上で、移転価格文書を提示し妥当性を立証することが求められることになります。

 

また、税務調査の対象企業の選定についても、今後はBIRフォーム1709、その他移転価格文書を含む添付書類で収集された情報により、初期段階での移転価格リスクを評価し、特定の企業の移転価格調査を行うかどうか、適切な決定を行うことが出来るようになります。

 

よって、BIRでも移転価格に精通した人材リソースが限られる中、BIRは移転価格を重要なテーマ選定とし、取り組んでいく意図がみえます。

 

今後、フィリピン進出企業は、関連者間取引での価格設定について、グループ全体での利益最大化する業績管理を目的とした価格決定するだけでなく、

フィリピン移転価格税制から求められる独立企業間価格であるかという視点からの検討が必要になっていきます。

 

​以下、移転価格に関する規則の概要です。

 

2013年の「移転価格ガイドライン」、2019年8月の「移転価格調査ガイドライン」に続き、2020年7月8日付の歳入規則(RR No. 19-2020)で、「関連当事者間の取引情報の詳細を記載する」新BIRフォーム1709の導入が発表されました。

 

当該規則は2020年7月25日より有効になっております。

 

今後は、納税者(全ての日系フィリピン子会社)は同フォームに必要情報を記載し、

移転価格文書を含む必要書類を年次法人税申告書に添付し、BIR(税務署)への提出が義務付けられます。

従来は、移転価格文書の提出は求められておらず、非常に大きなルール変更といえます。

本規則は、税務申告を実際に行った日に関わらず、 2020年3月31日決算企業から対象となります。

3月末決算企業は、BIRフォーム1709・移転価格文書その他添付書類の提出期限は、2020年9月30日です!

 

現時点で移転価格の対応が進んでない又は検討中の企業様は、弊社にご相談下さい。

 

最後に、弊社海外拠点の全ブログ掲載HPがリニューアルいたしました。

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今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

Tokyo Consulting Firm

ASEAN Regional Manager

大橋 聖也 (Seiya Ohashi)

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