こんにちは。東京コンサルティングファームセブ支店の奥墨愛美です。
今回は最近話題のCITIRA法案についてご紹介致します!
フィリピンのCITIRA法案ついて
外資企業から高い評価を得てきたフィリピンの税制優遇措置を、来年の2020年1月から抜本的に見直すCITIRAという法案が下院を通過しました。今後、上院審議での変更、時間切れによる廃案といった展開も考えられますが、仮に下院案がそのまま実現した場合、法人税は段階的に低減しますが、現行の税制優遇措置は最長でも5年以内に打ち切られます。また、PEZA(経済区庁)を通じて税金を一括納付していた輸出企業は、複数の税務当局に直接納税することになり、納税の煩雑化が懸念されます。新たな優遇税制措置は、「SIPP(戦略的投資優先計画)」に含まれる業種が適用対象となります。例えば電気・電子、自動車をはじめ、建築、社会福祉サービスなど非常に幅広いです。
さらに、フィリピンではこれまでPEZAやBOI(投資委員会)など14の投資誘致機関がそれぞれ独自の支援メニューで投資を誘致してきましたが、CITIRAにより優遇税制措置は財務省の基で管理されることになります。
CITIRAとはCorporate Income Tax and Incentives Rationalization Ac/法人所得税及びインセンティブ合理化法と呼ばれ、ITHの上限は5年となり、その後に適用される特別税率は、適用実績が10年を超える事業はさらに2年まで、適用実績が5~10年の事業はさらに3年まで、適用実績が5年未満の事業はさらに5年までとなります。また、特別税率期間終了後は、特別税率が撤廃されます。法人所得税率は2021~2029年に毎年1%ずつ削減されていく予定です。
現行とCITIRA法案の違いを表にまとめましたのでご覧ください!
CITIRA法案では外資企業に対する負の影響がフィーチャーされていますが、ここで正の影響にも触れておきたいと思います。今回のCITIRA法案によって法人税が今後20%まで減少していくことに関して、あらゆる国、業種において魅力であることは言うまでもありません。ASEANにおいては最も高い法人税率を定めていたフィリピンですが、20%にまでなればシンガポールに次いで第二位の低さです。タイ、ベトナムといったASEANでも昨今目覚ましいブームの起きた国は、いずれも法人税が20%であったことが魅力の一つとして挙げられています。
次週は現行の優遇税制である、ITH後の特別税率について例を用いながらご紹介していきます。
次週もお楽しみください!
東京コンサルティングファーム フィリピン・セブ拠点
奥墨愛美(おくずみ まなみ)
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