現地法人
現地に法人を設立する場合、フィリピン会社法に準拠した会社形態を選択しなければなりません。 会社法上の会社形態は大きく株式会社と非株式会社に分類されますが、通常、日本の事業会社が現地法人を設立する場合には、株式会社の形態を選択するケースがほとんどです。
■ 株式会社
日本人にとって最も馴染みのある会社制度であり、フィリピンへ進 出する日系企業が最も多く利用する形態です。株式会社とは、出資者たる株主が、均等に細分化された株式を引受け、引受けた株式の金 額を限度とした責任を負う(有限責任)会社形態をいいます。 株式 会社は、発起人が証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Comission)へ登記手続を完了することによって法人格を取得します。
株式会社は 株主数、定款の規定に応じて公開会社と非公開会社に区分されます。
[ 非公開会社と公開会社]
非公開会社とは、定款において以下の規定を定めている会社と定義されます(96条)。
・ 株主数が20名以下であること( 自己 株式を保有する場合、自社を除く)
・ 株式の譲渡に際して、会社定款及び附属定款によって定められた 制限に従うこと
・ 株式の公募を禁止すること
一方、 公開会社の定義はないため、上記の制限がない会社が公開会社となります。フィリピン市場での上場を目指す会社以外は、 公開会社を選択するメリットは少なく、ほとんどの日系企業は非公開会社を 選択しています。
ただし、一定の業種の場合には、 非公開会社での設立は認められて いません。具体的には、公共の利益に資すると判断される会社、採掘 または石油会社、証券取引会社、銀行、保険会社、公共会社、教育機関は、非公開会社としては認められていないため、公開会社として設 立しなければなりません。
実務の例として、一般の物流業の会社は公共の利益に資するとSECに判断され、非公開会社とすることはできないということがありました。
[非株式会社]
非株式会社(Non-Stock Corporations)は、公共目的のみで設立されます。たとえば、慈善、教育、文化、あるいは同様の趣旨に基づくものとなります。