フィリピン 証憑不足で予期せぬ追徴課税?!Part.1

こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。

【1分でわかるフィリピン進出のイロハ】
No.59< 証憑不足で予期せぬ追徴課税?!Part.1 >

今回は、【証憑と税務の関連性】というテーマでいくつかの事例をご紹介します。

日系フィリピン子会社の税務コンプライアンスチェックにあたって、各種証憑の取扱いが論点になることがあります。

まず、証憑の保管期間についてみていきましょう。

従来より、税法上で要求されている会計帳簿と併せて証憑類の保管期間は3年間となっていました。

これはBIRの税務調査が、納税者の各税目ごとに定められた税務申告期限又は実際の申告日の遅い日から過去3年に遡って実施される事が背景にあります。

例えば、12月決算の企業における法人税の申告期限が4月15日ですので、4月15日又はそれ以降の実際の申告日から3年以内であれば当該事業年度の法人税の税務調査が可能という事になります。

一方で、故意による粉飾や不正が発見された場合、10年間に遡って税務調査の対象になることが同じく税法上に定められています。

そして、2013年9月に当該規定との整合を取るべく、会計書類の保管期間が従来の3年から10年に延長となりました。

具体的には税務申告の期限日から10年間もしくは提出が遅れた場合は提出日から10年間となります。
当該規定に違反した場合は、BIRからペナルティーを課せられることになります。

更に上記ルールを付随して2014年7月に追加の規則が出され、最初の5年間については会計書類等の紙ベ ースでの保管、その後の5年については電子データ (DVD等) での保管も認められることになりました。

また、税務調査時には、企業側が実際の証憑を提示し、指摘事項に対して反証していかなければなりません。
一般的に税務担当官のチェックポイントは、監査済み財務諸表・税務申告書・根拠となる証憑といった3つの資料に関する整合性が調査される為、証憑類の保管は将来の税務調査時に自社を守るための重要な証拠書類になるので適切に保管しておきましょう。

次回から証憑不足による追徴課税を受ける具体的なケースを取り上げていきたいと思います。

最後に、2017年9月に弊社フィリピン本の第2版が、出版されました。
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是非、本屋又は弊社宛にお問合せ頂き、手に取っていただけますと幸いです。

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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