会社登記に必要な資料・情報の注意点

税務

いつもお世話になっております。

東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点の西野由花です。

 

先週はミャンマーの登記における流れとその際のポイントについてお伝えしました。

今回は、登記時に必要となる資料や情報について、良く頂く質問や、実際に登記をしていく中で私が注意しておいた方が良いと感じた部分を合わせてご紹介していきます。

 

[必要書類]

法人登記申請に必要な書類は、それぞれ以下の通りです。現地法人と支店・駐在員事務所とで必要な書類が異なります。

 

目次

■ 現地法人の場合

現地法人の場合には、以下の書類を用意する必要があります。

 

・FormA(申請フォーム)…事業形態によって異なります。申請の際にフォームに応じて150,000~2,500,000チャットの手数料が発生します。

・取締役就任予定者のパスポートコピー(外国籍の場合)またはN.R.Cのコピー(ミャンマー国籍の場合)

・(独自の定款を利用する場合)定款…ミャンマー語および英語での作成が必要です

・設立時取締役および設立時秘書役の任命に関する承諾書…申請には使用しませんが保管義務があります

・既存会社からの推薦状…既存会社と類似する会社名を使用する場合

 

※定款について:現在、DICAでは会社定款のサンプルを公表しており、モデル定款としてこの定款を登記時の企業定款として登録することが可能です。

この定款には事業内容の記載などもなく、応用が利く内容となっているため、特別に定款に記載したい内容がない場合、こちらの定款を使用し登記する企業も多くあります。

なお、モデル定款を多少なりとも修正した場合は、独自定款として扱われます。

 

なお、非公開株式会社の会社登記は、MyCO上の申請フォームであるForm A-1 (Application for incorporation as a private company limited by shares)を用いて申請を行うことになります。
FormA-1に記載が必要となる情報は以下の通りです。

 

①商号

既に登録されている商号や類似の商号も使用することができないため、設立手続が始まる前に、MyCO上で確認する必要があります。 商号使用が不可の場合もありますので、社内の事前決裁が必要な場合には、あらかじめ3つ程度の商号候補を用意しておくことをお勧めします。

 

②外資企業の該当の有無

登記を行う会社が外資企業(foreign company)に該当するかどうかも申請に含める必要があります。こちらの判断は、外資企業の定義である、持分比率の35%超を直接的または間接的に海外法人か外国人が保有するかどうかで判断することになります。

 

③申請者情報

会社登記の申請手続きを行う者の氏名、国籍、パスポートもしくはN.R.C(National Registration Card)の番号、住所、emailアドレスが必要となります。こちらの申請手続きは、登記される会社の取締役や株主である必要はないため、手続代行を行うエージェントなどでも問題ありません。

 

④取締役情報

登記される会社の設立時取締役について、氏名、国籍、ID番号(ミャンマー人の場合NRC番号、外国人の場合パスポート番号)、職業、性別、生年月日、居住住所、電話番号が必要となります。上記情報の入力の他に、NRCコピーまたはパスポートコピーをオンライン上にアップロードする必要があります。

尚、取締役の資格要件として、

  • (定款により一定の株式を保有すること求められている場合)保有していない取締役は選任後2ヶ月以内もしくは定款に記載された期間以内での株式の保有
  • 18 歳以上の自然人であること
  • 健全な精神状態であること
  • 会社法やその他の法律によって取締役として不適格であるとされている者ではないこと
  • 復権していない破産者ではないこと

などが会社法により規定されています。(会社法175条)

 

⑤秘書役情報

秘書がいる場合には秘書役の氏名、国籍、ID番号(ミャンマー人の場合NRC番号、外国人の場合パスポート番号)、性別、生年月日、居住住所が必要となります。

秘書役の設置は任意となっています。尚、秘書役の資格要件は会社法第179条に規定されています。

 

⑥登記住所

 

⑦事業活動の拠点

登記住所は必須となり、登記住所の他に事業活動の拠点となる住所があれば、任意で別途登録することが可能となっています。

 

⑧資本金情報

総株式数、資本金の通貨(MMKもしくはUSD)、最終持株会社の情報(※)の他、株主の登記番号や設立国(個人の場合はパスポート番号や生年月日など)、保有株式数、払い込み金額などの記載が必要です。
最低資本金については別途ブログにてご案内しています。
※最終持株会社とは、他の会社の子会社でない持株会社と定義されています。

 

■支店の場合

・FormA-8(申請フォーム)…150,000チャットの手数料が発生します。

・海外法人のAuthorized Officerのパスポートコピー(外国籍の場合)もしくはN.R.C.のコピー(ミャンマー国籍の場合)

・設立証(原文、英訳、ミャンマー語訳)…申請時点で発行から30 日以内のもの(日本の場合、登記簿で代用可能。現在事項証明書・履歴事項全部証明書のどちらも可能です。)

・本社の定款(原文・ミャンマー語)

・本社の定款の英語での要約

・登記時現地代表者の任命に関する承諾書…申請には使用しませんが保管義務があります

・既存会社からの推薦状…既存会社と類似する会社名を使用する場合

 

※支店設立の際、本社定款のコピーには原文、英訳、ミャンマー語訳それぞれに取締役の署名を付ける必要があります。

 

登記簿は登記申請時に発行から30日以内のものである必要があるため、設立準備の初期の方に発行してしまうと、定款の翻訳などを待っている間に使用可能期間が過ぎてしまったという庫とも考えられるので、お気を付け下さい。

 

いかがでしょうか。
設立時に必要な事項において特に注意をしていただきたいのが、ミャンマーでは現地法人のDirectorや支店のAuthorised Officerはミャンマーに183日以上の滞在が求められているという点です。
現状、実際に滞在日数を確認され罰則があったという話は聞きませんが、会社法に記載がある以上は遡及し指導をされる可能性もありますので滞在日数に関しては留意いただくようお願い致します。

なお、設立時から1年経過した時点で183日以上の滞在となるため、設立前にミャンマーで滞在している必要はありません。
弊社では設立前の市場調査や事業計画策定から設立、設立後の会計税務への対応の他にも、人を育成し、マネジメントする仕組みとしての人事評価制度を採り入れた組織づくりについてもご提案しています。
ご質問やご不安などございましたら、お気軽に下記までご連絡頂ければと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


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Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

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