
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「2025年版:ミャンマー会社設立・進出形態②」についてお伝えします。
目次
【2025年版:ミャンマー会社設立・進出形態②】
1. 概要
ミャンマーで事業を開始する際は、①会社登記(MyCO)、②投資スキームの選択(必要に応じてMIC申請)、③業種別ライセンスの取得、という三段構えで整理されます。
旧制度で存在した「Permit to Trade(営業許可)」はすでに廃止されており、現在は登記・投資・業種規制をそれぞれ独立して管理することが実務上の前提となっています。
会社登記および投資関連の所管は、投資・対外経済関係省(MIFER)の下にあるDICA(Directorate of Investment and Company Administration)が担っています。
2. 制度枠組み
ミャンマーの法人制度は、以下の3つの法体系によって構成されています。
まず、「会社法(MCL 2017)」では、オンライン登記システム(MyCO)を通じた設立手続きや、居住取締役の要件、年次申告(Annual Return)などが定められています。
次に、「投資法(MIL 2016)」では、MIC PermitおよびMIC Endorsementの制度を設け、長期土地リース(50年+10年+10年=最長70年)や、地域ゾーン制に基づく税優遇措置などを規定しています。
さらに、業種別の規制として、商業省(小売・卸)、ホテル観光省(観光・ホテル)、中央銀行(金融)など、各所管省庁からのライセンス取得が必要となる場合があります。
3. 設立・許認可の標準フロー
会社設立は、まずMyCOシステム上で会社名の予約を行い、定款および役員情報を提出したうえで、登記完了後に設立証明書が発行されます。
なお、設立後2か月以内(初回Annual Return提出時)までに、会社名義の銀行口座を開設し、MyCOに記載した払込資本が当該口座へ入金されたことを示す証憑(着金証明等)を提出することが求められます。これはDICAが2023年4月に示した「初回Annual Return提出時の追加提出物」に基づく運用です。DFDL+2Tilleke & Gibbins+2
次に、事業規模や性質に応じて投資スキームを選択します。国家的または大規模な案件、あるいは政府管理地の利用を伴う場合は「MIC Permit」、税優遇や長期リース権(LRA)の付与のみを目的とする場合は「MIC Endorsement」を取得するのが一般的です。
その後、登記が完了した会社は、事業分野に応じて各所管省庁の許認可や登録を取得し、正式に事業運営を開始します。
4. 小売・卸の投資額要件(現行運用の目安)
外資100%での小売事業を行う場合は、最低投資額が300万米ドル以上、卸売業の場合は500万米ドル以上と定められています(不動産賃料は除外されます)。
一方、ミャンマー側の持分が20%以上の合弁会社の場合、小売業は70万米ドル以上、卸売業は200万米ドル以上の投資が必要です。
なお、これらの要件は政策や通達によって更新されることがあるため、案件ごとに最新の条件を確認することが重要です。
5. コーポレート要件(MCL 2017)
私会社(非公開会社)の場合、取締役は1名以上で構いませんが、そのうち少なくとも1名はミャンマー国内に通常居住している取締役である必要があります。
会計および監査については、外部監査人の任用など、会社法に定められた会計監査規定に従うことが求められます。また、年次申告(Annual Return)は、設立から2か月以内に初回の提出が必要であり、その後は毎年、設立記念日の1か月前までに提出しなければなりません。遅延した場合、会社の登記が停止または抹消される可能性があります。dica.gov.mm
初回Annual Return提出時には、会社名義の銀行口座開設と、払込資本の着金証明(MyCO記載の払込額と整合するもの)の提出が追加で求められます。DFDL+1
6. 土地利用・投資優遇(MIL 2016)
ミャンマーでは、外国企業であっても最長70年(50年+10年+10年)の長期リース契約が可能です。
また、投資法に基づき、地域ゾーンや事業類型に応じて法人税の免除などの税制優遇を受けることができます。これらの優遇措置を適用する際は、MIC PermitまたはEndorsementの取得と合わせて検討するのが一般的です。
7. 実務上の留意点
まず、旧制度の「Permit to Trade」が廃止されたため、会社登記・業種ライセンス・投資優遇の3つを分離して設計する必要があります。
次に、ミャンマー中央銀行による通達など、外為関連の運用が頻繁に更新される点にも注意が必要です。資金計画やキャッシュマネジメントを立てる際は、常に最新の通達内容を前提としてください。
さらに、MyCOシステムの公開情報は時期により閲覧性が変動する場合があります。
また、Annual Returnの提出期限や投資優遇の条件遵守、各種報告書の提出期限などを厳格に管理することが不可欠です。
特に、初回Annual Returnまでの2か月間での銀行口座開設と払込資本の着金証明の準備を忘れないよう、設立直後から逆算してスケジュール管理する必要があります。 DFDL
8. 代表的な進出ルート(類型別)
サービス業などオフィス中心の業態では、MyCOで会社を登記し、必要に応じて所管省庁のライセンスを取得した後、運営を開始するのが一般的です。
製造業や不動産開発など長期土地利用を伴う事業では、MyCOで登記した後にMIC EndorsementまたはPermitを取得し、長期リース契約(LRA)や税優遇を得たうえで、所管ライセンスを取得します。
小売・卸業の場合は、まず投資額要件を満たしたうえでMyCOに登記し、商業省(MoC)で登録を行い、運営を開始します。
9. 旧情報からの主な差分(要点)
まず、「営業許可(Permit to Trade)」制度はすでに廃止されています。
次に、従来の「最低資本金要件(製造業15万USD/サービス業5万USD)」は撤回され、現在は小売・卸業など一部の特定分野のみで投資額要件が設定されています。
また、土地リースの上限は従来の最長30年から最長70年へと拡張されました。
さらに、取締役の要件については、従来の最低2名から、私会社であれば1名での設立が可能となりました。ただし、居住取締役の要件は引き続き維持されています。
③に続く
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