関税、FTAについて

税務

ミンガラーバー
ミャンマー拠点の西野由花です。

ミャンマーにおいてビジネスをしていく中で、モノの輸出入をする機会が出てくるかもしれません。
その際に考えていかなければいけないのは輸出入に関する規制と関税です。

 

今回は関税、FTAについてご紹介いたします。
ミャンマーでは国際税関機構(WCO:World Custom Organization)の管理するHS条約(Harmonized System条約)の2017年度版を元に策定されたMyanmar Custom Tariff 2017に基づき課税価格が決定されています。

Myanmar Custom Tariff 2017は21条98章に分かれ、タリフライン(※)は11167項目です。関税率は0%~40%となっています。

また、ミャンマーでは2016年より日本の電子通関システム(NACCS)をベースとした通関システムとしてMACCS(Myanmar Automated Cargo Clearance System)が導入された他、輸出入ライセンスのオンライン申請も開始されました。
※タリフライン:関税率表に記載されている品目をさらに細かく示したもの。

 

目次

■ミャンマーにおけるTFAについて

ミャンマーとの貿易においては、ASEAN域内における自由貿易協定の他、日ASEAN、中ASEANとしての貿易協定などを利用しより低い税率での取引を行うことが可能です。

 

【ミャンマーが参加しているFTAの一覧と現状】

  現状
ASEAN自由貿易地域(AFTA) ASEAN物品貿易協定(ATIGA)に基づく関税撤廃。2018年1月に後発ASEAN諸国(CLMV:カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を含めたすべての国の関税が原則撤廃
日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP) 2014年、2017年、2019年、2021年、2023年、2026年と段階的に関税撤廃予定

日本側は輸入額の 93%を無税化

ミャンマーを含むCLMVはその他ASEAN6ヶ国よりも猶予のあるスケジュールで品目ベース90%の無税化を目指す

中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA) 2010年、2015年、2018年、2020年と段階的に関税撤廃予定

2016年1月にACFTA 高度化協定が発効

全体で約95%以上の関税が撤廃済

ミャンマーは2020年にSensitive品目の関税を0~5%とすることを目指す

2019年8月1日より、原産地規則が大幅に改定

韓国ASEAN自由貿易協定(AKFTA) 2008年、2009年、2012年、2015年、2018年と段階的に関税撤廃

ミャンマーは2020年にノーマルトラックの完全撤廃

ASEANオーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA) 2011年、2013年、2015年、2017年、2019年、2021年と段階的に関税撤廃予定

オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールは品目ベース100%の関税撤廃を目指す

ASEAN・インド包括的経済協力枠組み協定 2010-2018年に段階的に関税撤廃、2021年までにノーマルトラックの完全撤廃とSensitive品目の関税削減を目指す

2019年末で約79%の関税が撤廃済み

香港ASEAN自由貿易協定(AHKFTA) 2019年6月に香港とラオス、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムの間でFTAと投資協定が発行

2019年~2039年にかけて1年ごとに段階的に関税を引き下げる予定

EU・ASEAN 自由貿易協定 ASEAN国内の経済差やミャンマーの人権文団などにより交渉が中断中

2017年に交渉再開で同意

東アジア地域包括的経済連携(RCEP) 現在交渉中
カナダ・ASEAN 自由貿易協定 検討中

2019年9月予備協議終了を発表

この他、ミャンマーでは途上国間貿易特恵関税制度(GSTP) 及びベンガル湾多分野技術経済協力イニシアティブ (BIMSTEC)にも参加しています。

 

各協定を利用して貿易を行っていく際には、各協定によって決められた関税率、そしてFTAごとに定められたフォームでの原産地証明の取得などが求められます。

ミャンマーはASEANの一国として様々な協定に参加しています。各協定の特徴を見て、それぞれの協定で定められた手続きに従い取引を進めていくことは大変ですが、その分低い関税率でやり取りができるのが魅力です。

 

いかがでしたでしょうか。

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Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

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