メキシコの労災保険

 

日本には労働保険として労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険がありますが、メキシコにおける労働保険はどのようになっているのでしょうか。
日本から出向している日本人がメキシコの労働保険を使うことは、ほぼ無いとは思いますが、現地採用のスタッフにとっては重要な福利厚生の一つにはなっていますし、会社が従業員を雇う上では無視できない制度です。今回はその中で、メキシコの労災保険についてお話ししたいと思います。

 

まず最初に、メキシコの社会保障制度についておさらいしておきましょう。

メシコの社会保険制度は、厳密に言えば、IMSS、SAR、INFONAVITの3つに分かれています。健康保険や労働保険の運用を行っているIMSS(Instituto Mexicano de Seguro Social:メキシコ社会保険公社)。年金運用のSAR、住宅購入を目的とした社会保障がINFONAVITです。

ただし、これら3つを総称して、メキシコの社会保障制度を“IMSS”と呼んでいる方が多いのではないでしょうか。

雇用主は、雇用があった日(採用日)から5営業日以内にIMSSに従業員を登録させ、保険額等の増減の通知、給与額の修正、その他の各項目を通知しなければならず、この登録によって、従業員はメキシコの社会保障制度の恩恵を受けることが出来るようになります。

 

少し話が脱線しますが、日本からの出向者の方の中には「メキシコの社会保障制度を利用することは無いので、加入を行いたくない」という方もいるのではないでしょうか。ただし、メキシコで給与として受け取る限りは、IMSSへの加入は必要ですので、その点は注意が必要です。

 

もし、メキシコと日本が社会保障協定を結んでいれば、メキシコで支払った保険料が日本の保険料の支払いへ充当させることが出来ますが、2019年4月現在においてはメキシコと日本間でそのような協定は結ばれていないため、メキシコで利用することの無いであろう社会保障に対する支払(保険料)は企業にとっては単なるコストになってしまいます。

今回のテーマはメキシコ労働保険ですが、これは先述したようにIMSSによって運営されているものです。

 

日本における労災保険(労働災害保険)は、事業の種類によって労災保険料率が異なりますが、この点はメキシコも同じです。事業の種類、つまり事業活動において危険度が高いと思われる業種はこの労災保険料率が高くなるのです。

メキシコはこの区分をClaseといもので分けています。この違いによって保険料率が変わっているのです。

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一

 

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