メキシコにおける競争法について

経営

 

今回はメキシコにおける競争法についてお話しします。

 

メキシコにおける独占禁止法は、経済競争に関する連邦法(Ley Federal de Competencia Económica、以下、競争法)を指します。2014年4月29日には、連邦議会において新競争法が可決しました。ただし、内容には未だ不明確な点も多く、当面慎重な検討が必要となります。

大きな変更点としては、これまで同法に関する問題についての管轄が連邦競争委員会(Comisión Federalde Competencia)であったのに対し、今後は、電気通信業界については連邦電気通信機関(IFETEL:Instituto Federalde Telecomunicaciones)、それ以外については連邦経済競争委員会(COFECE:Comisión Federalde Competencia Económica)の管轄となった点が挙げられます。

どのような行為が競争法で禁止されるかを理解する必要があるとともに、同法の規程に従い、上記当局へ各種届出書の提出が必要となる場合もあるため、注意が必要です。

 

■独占的行為

独占的行為は、絶対的独占的行為と相対的独占的行為に分けられます。絶対的独占的行為は、競争および競争過程への影響が状況によらず明らかに反競争的であるもの、相対的独占的行為は、競争および競争過程への影響が常に明らかとはいえないものをいいます。

[絶対的独占的行為]
絶対的独占的行為は、以下の目的・効果を有する、競争者間のすべての契約や取決が含まれ、原則禁止とされます(競争法53条)。

・価格固定、値上げ、価格合意、価格操作
・商品やサービス提供の供給制限
・市場または顧客の分割、配分、割当または賦課
・入札談合
・上記各項目を目的とする情報交換(新法により追加)

上記に該当する絶対的独占的行為は、市場やその行為をした企業の規模にかかわらず法律違反となり、刑法上の責任に加えて制裁金が科されます。

[相対的独占的行為]
相対的独占的行為は、一概に競争を阻害する効果を有するわけではないため、マイナスの効果がプラスの効果を上回り、自由競争にとって有害な独占的行為と判断された場合に違法とされます。相対的独占的行為は以下のとおりです(競争法54条)。

・市場の垂直分割
・最終製品の販売、再販売価格の制限
・抱合せ販売
・排他的な契約
・取引の拒絶
・ボイコット
・不可欠な施設・材料の取引拒否または制限(新法により追加)
・マージンの搾取(新法により追加)
・その他競争阻害

 

■適用除外

[重点政策部門]
憲法28条4段に定められた重点政策部門において排他的活動が認められる同業者団体については適用除外となります。ただし、同団体に対しても、重点政策とみなされない行為については、競争法が適用されます(競争法6条)。

[労働組合、著作権者・特許権者]
関連法に基づき、自らの利益保持のために組織された労働組合は適用除外となります。また一定期間、著者や芸術家、および発明家や発明品の改良者等に与えられる、作品に対する特権についても適用除外となります(競争法7条)。

[輸出組合]
商品や製品を直接海外に販売する団体・組合について、以下の場合は適用除外となります(競争法8条)。

・当該製品の輸出が、その地方における財源として不可欠な製品、または逼迫した需要のないものである
・当該製品が、国内では販売・流通がない
・当該団体が、行政の監視下にあり、適切な機関により設立が事前に承認されている
・当該団体が任意団体であり、加盟や脱退が自由である
・当該団体が、連邦政府から許認可を受けていない

[最高価格設定]
その他、国内経済および大衆消費における基本的商品およびサービスつき、政府および大臣が最高価格を設定する場合においても適用除外とされています(競争法9条)。

 

■企業結合(Concentración)

競争法が規制対象とする企業結合とは、競合企業、サプライヤー、顧客等の経済主体間における合併・買収等、資産(株式、持分等)の集中を生じる行為をいいます。企業結合が自由競争や市場機能を阻害する目的や結果を生じうる場合、連邦経済競争委員会の規制または排除処分の対象となります。
当該規制は、日本の独占禁止法における、「事業支配力が過度に集中することとなる会社の考え方」と同様の趣旨によるものです。

以下の表に規定される企業結合については規制が強化されており、連邦経済競争委員会への事前届出および審査が必要となります(競争法86条)。事前届出を怠った場合には、相当額の罰金が科されます。

ただし、下記に該当する場合であっても、当該企業結合により、メキシコ国内で支配権獲得や資産の集中が生じない場合には、届出義務が免除されたり、より簡素な手続によることが認められる場合もあります。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

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