日系企業の多くは、会社名の後に“S.A. de C.V.”と言われる可変資本会社という形態で進出をしています。
可変資本会社とはその名の通り、「資本金を(簡単に)変動できる」という意味の会社形態であり、この形態で進出している企業は増資を定款内容の変更することなく、実施することが可能となります。
※固定資本と可変資本に関してはこちらのブログ内容を参照ください。
さて、定款内容を変更することなく増資ができるといっても、メキシコ法人として何の手続も経ずに資本金を受け入れることはできませんので(手続を行わずに増資を行えば実施すれば、資本金ではなく“収益”として認識する)、一連の手続を実施する必要があります。
以下に、簡単ではありますが、大まかな手続の流れを記載します。
- 株主総会を開催し、増資の決議を実施
- 同株主総会の議事録作成
- 増資(資本金受入)
- 株主総会議事録の公証手続
- 増資に対する株券発行
- (必要に応じて)経済省外資局【RNIE】への報告
本来は、上記のような流れに沿って実施するものですが、実務上は“先にお金を受け入れてしまい、株主総会の開催を着金日より前にして議事録を作る”
つまり、上記で言えば3⇒1⇒2⇒4⇒5⇒6といった順番になることがあります。
また、メキシコペソ(MXN)以外の外貨を資本金として着金させる場合、議事録上はMXNでの記載が必要となるため、換算後の金額が確定してから議事録を作成するといったケースもあります。
<理由>
外貨での増資(着金させる)の場合、着金日のレートを使ってMXNへ換算して、最終的な金額が確定します。
そのため、議事録を先に作ってしまうと、議事録の記載金額と実際に換算した金額との間で差異が生じることになり、差額をどのように処理するのかといった問題が生じてしまうため。
※以下、弊社ブログ参照ください。
その他、気を付けなければならない点としてですが、手順にも記載した「6(必要に応じて)経済省外資局【RNIE】への報告」です。
一定の金額を超える増資を行った場合、RNIEへの報告が必要ですが、それは特定の期間内(四半期毎)での動きに基づいています。
※詳細はこちらのブログをご覧ください
そのため、対象期間ギリギリで増資を行ってしまうとRNIEの申告期限までの時間が短くなってしまいますので、可能であれば余裕のある時期に実施していただけるとよいかと思います。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一
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