メキシコで会計・税務、労務の業務に携わっていると、メキシコの税金や社会保険の制度は日本よりも電子化が進んでいるということに驚かされます。
法人はもちろんですが、個人も納税者番号(RFC)やCURP(Clave Única de Registro de Población)と言われる住民番号等でほとんど全ての情報が各当局によって管理されています(実際にどこまでしっかりと管理しているかは別として、制度としては整っている)。
一般的には電子化が進んでいればいるほど、様々なものが簡略化され、スピーディーに物事が進むと思ってしまいますが、必ずしもそうとは限りません。制度が整っていればいるほどイレギュラーな事象には対応できなくなるため、良くも悪くも「“0(ゼロ)”or“1”」という状況が生まれてきます。
そのため、業務を滞りなく進めていくためには正しい情報をしっかりと理解して、漏れや間違いが起こらない体制を作っていく必要があります。
例えば、税金計算。通常、損金算入の条件としては、FACTURAの発行が必要となりますが、このFACTURAには発行先(損金計上する側)のRFCが記載されています。
もし、発行されたFACTURAに記載あるRFCの番号に誤りがあれば、どんなに会社名や住所などの情報が正しかったとしても、そのFACTURAを損金算入させることはできません。このように、全体の情報の中で一部でも誤りがあれば、その情報は有効にならないのです。
さて、今回のテーマである「FIEL(e-firma)の変更、更新手続」に関してですが、FIEL(e-firma)とは会社や個人がメキシコで企業活動を行うにあたって取得が必要となる“電子印証”です。
参照:
このFIEL(e-firma)には有効期限があるため、期限が切れる前に更新をしなければいけません。もし、更新をしていなければ、無効となるためその他の情報が揃っていたとしても「書類の不備」ということになってしまいます。
あて、この更新方法ですが、個人の場合はその本人がメキシコ国税庁(SAT)へ出頭しなければならず、代理人等が手続を行えるものではありません。
一方、法人のFIEL(e-firma)は、WEB上で更新が可能です(ただし、有効期限を過ぎてしまっての更新は“新規取得”と同じ扱いであるため、出頭が必要)。また、会社代表者の変更によって、法人FIEL(e-firma)の権限者を変更したい場合においても、新しい代表者が個人のFIEL(e-firma)を保有した状態で、SATへ出頭して手続を実施することになります。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一
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