皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週はメキシコへの進出形態について記載します。
質問)
取引先との関係もあり、メキシコへの進出を本格的に考える必要が出てきました。
駐在事務所、支店、現地法人という進出形態があることはわかりましたが、それぞれの違いは何でしょうか。
回答)
メキシコにおいてビジネスを行う際の事業形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、株式合資会社、協同組合など多岐にわたりますが、外資企業の多くは株式会社(Sociedad Anonima:S.A.)と合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada:S.de R.L.)によりメキシコに進出しています。
また、メキシコにおいてはこれらの現地法人の他に、いわゆる支店・駐在員事務所についても、法的要件を満たす形で設立または開設され、必要な許認可等を取得すれば問題なくメキシコにおいて活動することができます。
【現地法人】
規制業種以外への投資については、100%外資の現地法人設立が可能となります。現在では、経済省外資委員会(SRE :The Secretariat of Foreign Relations)へは事後報告のみで会社設立が可能となりましたが、メキシコが締結している条約や協定とは別に、外国法人または支店(駐在員事務所を含む)がメキシコで営業行為を行うには、経済省の許可が必要とされています。必要条件を満たしている場合、15営業日以内に許可書が発行されます。
また、日本、米国、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ウルグアイ、ペルーの資本によって設立された企業に対しては、メキシコ国内で外国法人として活動する際に必要とされてきた経済省の開設許可も不要となりました。
【支店】
外資法17条により「メキシコ国内において常態で商行為を営もうとする外国法人」(1項)、これが日本でいう支店に該当します。
法人と同じように商業活動が可能であり、開設には外資委員会での事前承認(国家外資登録)が必要となります。現地法人に比べて業務開始までに比較的時間がかかります。
また、現地法人と異なる点は、支店は不動産に関する外資規制の対象となり、規制区域内の不動産を直接取得することができず、操業形態や業種により操業許可が取得できない場合があります。
【駐在員事務所】
「民法第2736条にのみ規定される(常態で商行為を行わない)外国法人でメキシコ国内に拠点を設けようとするもの」、これが日本でいう駐在員事務所に該当します。
駐在員事務所は通常、金融機関などの特別業種を除き、情報収集、連絡業務などを目的として設立され、メキシコ国内における営業・営利行為は禁止されています。現行法では支店と駐在員事務所の明確な区別は示していませんが、駐在員事務所も支店と同様、国家外資登録が必要となり、外資委員会での事前承認も必要となります。
つまり、支店と駐在員事務所の相違点は、「メキシコにおいて常態で商行為を行うか、否か」をその相違点としていると考えられます。上記以外には明確に支店と駐在員事務所(金融および保険等の特殊業務における駐在員事務所を除く。)を区別する定義が確立されているわけではなく、その定義、活動範囲についても解釈の範囲を残すこととなっています。
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