メキシコの社会保険制度について

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコの社会保険制度について記載します。

 

 

質問)

ようやく現地法人の設立の目途が経ち、これから日本人の駐在、現地スタッフの雇用を考えています。メキシコの社会保険制度について教えてください。

 

回答)

メキシコの社会保険制度は、民間組織労働者を対象としたIMSS(Instituto Mexicano de Seguro Social:メキシコ社会保険公社)が主に制度運用を担っています。

 

IMSS加入に伴う社会保険料は、事業主と労働者がそれぞれ負担し、下記に該当する場合には、各種保険金の給付を受けられることになります。

 

(ア)労災(労災保険)

(イ)病気および出産(医療保険等)

(ウ)障害および生命(障害者保険および生命保険)

(エ)退職および失業(退職年金や失業保険)

(オ)ケアサービスおよび社会福祉

 

雇用主は従業員を雇っているにも関わらず、これらの義務を遂行しない場合には、

斡旋業者等(雇用主と従業員の間に入る者全て)を含め、当該従業員に対し連帯責任を持ちます。

 

【雇用主の義務】

a 雇用があった日から5営業日以内にIMSSに従業員を登録させ、保険額等の増減の通知、給与額の修正、その他の各項目を通知する。

b 雇用があった日から、雇用主は給与や出勤日数、その他法律で定める事項を5年間保存する。

c 雇用主の拠出金額(基本給与額)とIMSSへの保険料の支払金額を決定する

d 支払の内容等の詳細情報をIMSSへ申請する。

e 当局による視察があった場合には対応する。

f 建設業の場合には、15日おきに書面による通知を行う(基本的には、給与の支払いに合わせて通知を行うことになる)。

 

●各種保険金等の支払い

(ア)労災保険

メキシコで、従業員に労働災害が起きた場合には、当該全ての従業員は、直接金銭的補償を受ける権利を持っています。

具体的には、次に規定する金額を支払います。

a 従業員に障害が永久に残る場合には、当該従業員に対し1,095日分の給与が支払われます。

b 業務上の事故で労働者が死亡した場合には、遺族に対して葬儀費用として給与の2カ月分およびその他に730日分の給与が支払われます。

 

(イ)年金保険

社会保険法162条において、定年退職者における年金制度が記載されており、

定年退職者に関しては65歳超から年金の支給があります。

ただし、年金を受け取れる条件としては、在職中に合計1250週以上に渡り、

年金保険料を納めている必要があります(もし、1250週に満たない場合には、それまでに支払った額に見合う金額を一時に給付されます。)。

なお、早期退職者には60歳からの早期減額支給制度が別途定められています。

 

(ウ)医療保険

社会保険法107条において、医療保険について記載がされており、

病気および出産の費用は全て現金または現金同等物で給付されます。

その財源は基本給与の1%相当額とされ、各負担者の負担割合は、雇用主が70%、被雇用者が25%、連邦政府が5%となっています。

 

【給付内容】

a 被保険者には、出産後6月間、新生児用品(衣類や紙おむつ、ミルク等の生活必需品)が支給されます。

b 被保険者には、当該被保険者の月収に相当する額が、出産の42日前と42日後の2回に渡ってそれぞれ支給されます。

c 被保険者には、傷病手当として、傷病の発生から1年間、給与の60%が支払われます。

 

東京コンサルティングファーム

メキシコ共和国

黒岩 洋一

 

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