メキシコでの会社設立手続きについて

こんにちは、メキシコ駐在員の片瀬です。

現在多くの日系企業がメキシコに進出しています。昨年1年間の進出企業数はおよそ200社に達するとみられ、今年度においても100~200社は進出するといわれていますので引き続き堅調に推移すると考えています。進出企業の新規進出企業のおよそ9割が自動車メーカーであるために今後もバヒオ地区(DFから車で3時間~5時間程度)を中心に進出されるものと思います。貧富の差が激しいメキシコでは、今後も低価格で一定水準の労働力を継続して確保できるものと考えられるために、今後もラテンアメリカ地域の製造拠点としての地位を確固たるものにしていくものと考えられます。

また、日本とのEPAを始めとし、各国との間にEPA/FTAをそれぞれ締結しており、メルコスール(ブラジル、アルゼンチン等のラテンアメリカ諸国)との間において発行されている自動車および自動車部品についての相互特恵関税適用もこの制度を利用したものです。そのためメキシコは、今後のラテンアメリカ地域へのビジネス拡大の足掛かりとして日系の自動車メーカーに活用されるものと思います。日系の大手の自動車メーカーは2011年度および2012年度において進出及び拡大のピークを迎えましたが、引き続いて2013年度は中小の部品メーカーの進出が続いており、今後もこの日本企業の進出の勢いは、上記のとおりしばらく続くものと思われます。この進出ブームが落ち着いた後は、メキシコをラテンアメリカ地域の統括拠点としてラテンアメリカ全土にビジネスを拡大する企業が増えるものと考えられ進出ブームが終息した後においても、メキシコの自動車産業は今後発展の一途をたどるものと思われます。

一方で、日本企業によるメキシコ企業の買収はこれまでほとんど見られませんでした。日本企業のメキシコ進出は製造業が中心であり、自らの技術で生産しその製品をメキシコ国内または北米および南米に輸出する事が目的であるため、企業を買収する必要に乏しく、子会社を設立して事業を展開することが一般的でした。しかし、最近ではメキシコのローカル企業を日本企業が買収しようという動きも少しずつですが出てきています。北米自動車メーカーおよび日系自動車メーカーの進出、投資拡大によりメキシコのローカル企業が技術力をつけ、日系企業が興味を覚えるような企業も多数出てきています。

今日は、メキシコでの会社の設立手続きについてご説明させて頂きます。海外ビジネスで会社設立は基本的なものとなりますので、基本項目を頭に入れておいても損は無いはず!得なはずです!

【会社設立手続き】
①委任状の作成
まずは委任状を作成する必要があります。委任状が無ければ各種機関への申請がそもそもできませんので。委任状は法務局、公証人、外務省の3機関の承認が必要です(公証役場でまとめて行えます)。メキシコと日本はハード条約(書類のやり取りの煩雑さを無くす為の条約)を締結しておりますので、日本の外務省においてアポスティーユを取ることができます。アポスティーユを取ることによって領事館等での承認が必要無くなり手続きを簡素にする事ができます。

②会社設立許可の取得
外務省へ会社設立の許可申請を行います。以下、必要な情報となります。
・会社名候補を3つ
・資本金の額
・可変資本制度の利用の有無
・会社の所在地
・その他
これらの情報を申請書に記載し提出します。そして外務省から当該申請書類受理後5営業日以内に設立許可証(有効期限90日)が発行されます。

③会社定款等の作成
定款への記載事項は以下の通りとなります。
・事業目的
・資本金の額
・取締役の構成
・憲法27条に同意する旨

※これは自国の保護を求め無いため記載するメキシコ特有の項目であり、その他は普通の定款と同じようなものと考えて頂いてOKです。

・その他
基本的には、委託会計事務所がひな形を持っていますので、記載項目を伝えひな形に合わせて作成すれば、すぐにできる項目であると思います。

④親会社の定款・登記簿
親会社の定款は外務省からアポスティーユ承認をもらい、公認翻訳士によるスペン語への翻訳が必要となります。登記簿も念のために準備しておきましょう。その他、国によっては決算書類等を求められる場合等もありますので都度確認が必要です。

⑤公正証書の作成
公証人が必要事項を公証原簿に記載し、発起人またはその代理人の面前で署名して公正証書が作成されます。上記①~⑤の書類がこの時点で必要となります。

この時点で会社が設立されました。ただこの時点では商業登記や税務登記(税務登録番号の取得)、銀行口座の開設を行っていないのでビジネスはまだ開始する事ができません。その他、IMSS(社会保険庁への雇用主登録)や外資登録、特恵関税の許可申請等のほぼ全ての申請・手続きが、会社設立のタイミングでできるようになります。

上記は一般的な会社設立をかなり短くして書きましたが実際には、業種によっては外資委員会の承認が必要となる場合など、イレギュラーな事も多々ありますので注意する必要があります。

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