Q&A①ビザ編……滞在ビザと就業ビザ?

労務

インドネシアで滞在するためのビザは大きく分けて3つです。細かい種類がありますが、以下を押さえれば十分です
①ビザオンアライバル(VOA)……空港で並んで25ドル払って取得する。観光ビザ
②ビジネスビザ(212)……会議可能ビザ。一回入国、複数入国の2種類
③KITAS(312)……長期滞在ビザ。1年更新。IMTAとセット

特に②③で混乱される方が非常に多いです。②の理解はこのビザで何ができるか、あと、有効期限が重要です。シングルは180日、マルチは1年で切れます。具体的には、シングルの場合、最初の取得時に60日間の滞在許可が下り、30日ごと、合計で4回の更新が可能です。したがって、最大で180日の滞在が可能です。マルチの場合は、一回の滞在は、60日となります。ただし、一回出入国をすると、また60日カウントが再開します。当該ビザは1年間有効です。
③は、1年ごとの更新です。IMTA(就業ビザ)とセットで取得するケースが多いので、混乱される方が多いですが、IMTA=就労、KITAS=滞在です。したがって、ご家族が一緒の場合は、ご家族もKITASの取得が必要です。
以下、具体的な事例があります。
②③の違いを事例を使いながら理解しましょう。

Question

弊社社員で、インドネシアへ繰返し出張している者がおります。現状、マルチビザで入出国しておりますが、ビザの種類により、現地で許可されている業務内容が明確に分かれているという話を聞きました。マルチビザで許可されている業務の範囲はどの程度でしょうか。ちなみに、本件の出張者は技術者(SE)であり、製品の導入のほか、今後はパートナー会社の現地スタッフへの技術指導などを行う予定ですが、このような業務を現地で行う場合、また異なるビザの取得が必要でしょうか。また、仮に現状のビザで業務を継続した場合、どのようなリスクがありえるでしょうか。

Answer

マルチビザ(212ビザ)は商用ビザなので、会議、商談は可能ですが、就労はできません。
具体的には、オフィスの席に座って、作業すること、名刺に名前を書くこと、工場の中に立ち入ることはできません
この時点で、技術指導をしていること自体、コンプライアンスの問題があります(実際多くの企業はこうしているのも事実ですが)。リスクとして、内部通報により、イミグレに通報されて、パスポートを取り上げられる。金銭を要求される。といった事があります。1~20millionルピアと金銭の要求には幅がありますが、ある程度の金銭は必要です。

上記の問題への対策として、IMTA(就業ビザ)を取得することが必要です。当該就業ビザを取得することで就業が可能、この場合の就業には、技術指導も含まれます。

一方、別論点として、PEの問題および、赴任者の個人所得税の問題が生じます。
技術指導として長期に滞在する時点で、PE課税のリスクは免れません。したがって、対策として、最初からPEとして申告をし、みなし売上を申告することです。また、IMTAは就業ビザですが、滞在の根拠として、滞在ビザが必要です。IMTAと一緒にKITASを取得する必要があります。KITASを取得した時点で、インドネシア側で課税義務が生じます。したがって、一旦、日本側で非居住者として確定申告をし、その後、赴任に係るインドネシア側の所得と、日本側の所得(非居住者となった期間分)を全世界所得として、インドネシア側で申告する必要があります。

東京コンサルティンググループ
インドネシア現地法人代表
社会保険労務士 加藤大和

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