皆さんこんにちは。
東京コンサルティンググループ、インドネシア法人にて赴任しております、上原陵です。
本日は、インドネシアにおける労務基礎知識を表におまとめ致しましたので、ご紹介させて頂きます。
インドネシア労務に関する基礎知識 | |||
給与構成について | |||
項目 | 法令 | 参考 | |
給与構成 | 基本給の下限額は、基本給と固定手当の合計額の75%とする | 賃金に関する インドネシア共和国政令 2015年第78号 |
第5条 |
残業代について | |||
項目 | 法令 | 参考 | |
対象 | 所定労働時間を超えて労働者を雇用する経営者は、残業手当を支給する義務を負う =契約社員・日雇い社員を問わず、労働者全員 |
労働移住大臣決定所 2004年第102号 |
第4条 |
特定の役職等級に含まれる労働者※は、より高額の賃金を受け取るということを条件として、 残業手当を受ける権利を有しない。 |
|||
※特定の役職等級に含まれる者とは、会社事業活動での企画者・計画立案者・実施者・管理者として責任を負い、労働時間が現行法令に従い会社が定める労働時間に基づき制限することができない者を指す | |||
支給額 | 計算根拠 | ||
時給の計算方法は、1ヶ月の賃金×1/173とする | 労働移住大臣決定所 2004年第102号 |
第8条 | |
労働者の賃金が日給で支払われる場合 ・週6勤務の場合:日給×25=1ヶ月の賃金 ・週5勤務の場合:日給×21=1ヶ月の賃金 とする |
第9条 | ||
・基本給と固定手当しかない(変動手当がない)場合、計算根拠は賃金の100% ・基本給・固定給・変動手当からなる場合、 基本給と固定手当の合計金額が賃金全体の75%を下回る場合、計算根拠は賃金全体の75%とする |
第10条 | ||
残業手当の計算方法(週5勤務の場合) | |||
残業が労働日に行われる場合: ・残業の最初の1時間目は、時給の1.5倍 ・2時間目及びそれ以降は、時給の2倍 |
労働移住大臣決定所 2004年第102号 |
第11条 | |
残業が週休日、及び/或いは祝祭日に行われる場合: ・最初の8時間目までは時給の2倍、 ・9時間目は時給の3倍、 ・10時間目と11時間目は時給の4倍 |
第11条 | ||
宗教大祭日手当(THR)について | |||
項目 | 法令 | 参考 | |
対象 | 継続して1ヶ月以上勤続する労働者に対し宗教祝日手当(THR)を支払う。 | 労働大臣令2016年 第6号 |
第2条 |
雇用関係が無期雇用契約に基づく労働者が宗教大祭日の30日前から 大祭日までに雇用関係が終了する場合には、宗教THRに係る権利を有する。 |
第7条 | ||
正社員・契約社員の場合の 支給額 |
・勤続12ヶ月以上の場合、賃金1ヶ月分 | 第3条 | |
・勤続1ヶ月以上12ヶ月未満の場合、(勤続期間÷12)×賃金1ヶ月分 | |||
・1ヶ月分の賃金は過去12ヶ月の平均値をとる。 | |||
・1ヶ月分の賃金とは、下記のうちいずれかとなる。 | |||
a. 手当なしの賃金である Clean wages、あるいは | |||
b. 固定手当を含む基本給 | |||
※雇用契約等で上記の金額よりも高い設定をしている会社は雇用契約に従う。 | 第4条 | ||
日雇いの 場合の 支給額 |
・1ヶ月分の賃金とは、下記のうちいずれかとなる。 | 第3条 | |
a. 勤続年数が12ヶ月以上の場合、 宗教大祭前の過去12ヶ月間に受け取 った平均賃金に基づく1ヶ月の賃金 |
|||
b. 勤続年数12ヶ月未満の場合、勤続期間中の毎月の賃金の平均額に基づ く1ヶ月の賃金 | |||
支払い | 宗教大祭の1週間前までに支払う。 | 第5条 | |
支払いはルピアとする。 | 第6条 | ||
補足 | 2016年法改正により、支払い条件が勤続3ヶ月以上から、1ヶ月以上へ変更となった。 | ||
有給休暇について | |||
項目 | 法令 | 参考 | |
義務 | 年次休暇として、労働者が継続して12ヶ月就労した後に少なくとも12稼動日 | 2003年第13号 | 第79条 |
慣習 | 勤続期間が12ヶ月に満たない場合、以下の計算に基づき支給される 12稼働日÷12ヶ月×勤続月数 |
N/A | |
補足 | 試用期間はこの勤続月数に数えるか数えないかは特に定めがない | ||
義務 | 以下の事由で休暇をとる場合には、年次休暇日数を減らすことなく、有給で休暇をとることができる。 a. 労働者が疾病で就労することができない場合(医師の診断書に基づく疾病) ・最初の4ヶ月間、賃金の100% ・次の4ヶ月間、賃金の75% ・その次の4ヶ月間、賃金の50% ・上記以降は、経営者が解雇処分を実施するまで賃金の25%を支給する b. 女性労働者が生理の1日目と2日目に生理痛で就労することができない場合 c. 労働者が、以下を理由に欠勤する場合 ・労働者の結婚(3日間) ・子供の結婚、割礼式、洗礼式、妻の出産或いは流産、配偶者または子供・ 子供の配偶者・又は実父母又は義父母の死亡(2日間) ・同居するその他家族の死亡(1日) d. 労働者が国家に対する義務を履行するため出勤できない場合 e. 労働者が遊興的義務による祈祷を実施するため出勤できない場合 f. 労働者が契約した仕事を行う用意はあるが、経営者本人の過失により、或いは 経営者が回避可能であったはずの障害によって労働矢を働かせることができない場合 g. 労働者が経営者の承認を得て労働組合の活動を行う場合 h. 労働者が会社からの教育プログラムに参加する場合 |
2003年第13号 | 第93条 |
慣習 | 女性の生理休暇は、医師の診断書の提出を従業員に義務付ける企業もございます。 診断書無しの生理休暇を許可した場合、休む人が多いことが理由です。 |
N/A | |
義務 | ・女性労働者は、産婦人科医或いは助産婦の診断に基づく出産前1.5ヶ月間と出産後1.5ヶ月間の 休暇を取得する権利を持つ。 ・流産した女性労働者は、1.5ヶ月間或いは産婦人科医或いは助産婦からの診断に基づき 休暇を取得する権利を持つ。 ・上記に述べる休暇取得権を行使する労働者の全ては、賃金の全額を受け取る権利を持つ。 |
2003年第13号 | 第82条 第84条 |
本日は以上となります。
来週もどうぞよろしくお願い致します。
東京コンサルティングファーム インドネシア拠点
上原陵
PT.Tokyo Consulting
Menara Standard Chartered, Floor 18, Jl. Prof. Dr. Satrio No. 164
kelurahan Karet Semanggi, Kecamatan Setiabudi, Jakarta Selatan 12930
TEL: +62-(0)-21-25532561
FAX: +62-(0)-21-25532562
Mobile: +62 812 1352 2573
E-mail: uehara.ryo@tokyoconsultinggroup.com
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにPT.Tokyo Consulting)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承くださいませ。