こんにちは、東京コンサルティングファーム、中国・上海の萩生田弘毅です。
2021年8月15日をもって、上海市における外国人への社会保険加入が免除されると 認識される要因となった「上海市人力资源和社会保障局关于在沪工作的外籍人员、获得境外 永久[长期]居留权人员和台湾香港澳门居民参加城镇职工社会保险若干问题的通知」(「38 号通知」)の有効期限が終了となりました。
以上より、今回より8回に分けて「上海市における社会保険制度」について記載していきま す。
【失業保険】
中華人民共和国社会保険法において加入義務が定められております。
失業保険とは、一定の条件を満たした企業従業員に対して、失業期間中に生活費や医療費を 支給する保険になります。
失業保険の受給要件は、事業主および被保険者による 1 年以上の保険料の納付があること、 自己都合による退職ではないこと、失業の登録を済ませたうえで、求職の希望があることに 当たります。給付には失業保険金(保険料の納付期間に応じて 1~24 カ月間)、医療補助金、 死亡した場合の葬儀補助金や弔慰金があります。
詳細については「中華人民共和国社会保険法 第 46 条」に定められており、日本語訳は以下になります。
『失業者が失業する前の雇用単位および本人による累計納付期間が 1 年以上 5 年未満の 場合は、失業保険金を受給する期間は最⾧ 12 ヵ月とする。累計納付期間が 5 年以上 10 年未満の場合は、失業保険金を受給する期間は最⾧ 18 ヵ月とする。累計納付期間が 10 年 以上の場合は、失業保険金を受給する期間は最⾧ 24 ヵ月とする。新たに就業した後に、再 び失業した場合には、納付期間を新たに計算するものとし、失業保険金を受給する期間は、 前回の失業において受給すべきであったが受給していない失業保険金の期間と合算し、最 ⾧で 24 ヵ月を超えないものとする。』
失業保険における納付比率は地域によって差があり、
従業員継続雇用の場合、本人前年度月平均給与に基づき、
従業員新規採用の場合、入社後最初の月の給与全額に基づいて計算されます。
上海市の場合、企業負担額は従業員の賃金総額の 0.5%、従業員個人負担額は賃金総額の 0.5%となります。
また、保険料を算定する際に基となる賃金には上限及び下限が設定されており、 下限は前年度地域平均給与の 60%、上限は前年度地域平均給与の 300%と定められております。
上海市の場合、「2021 年 7 月 1 日~2022 年 6 月 30 日時点」では
下限:5,975 元/月、上限:31,014 元/月と定められております。
従業員の賃金が前年度地域平均賃金の 300%を超える場合、
超過分については社会保険料算出時の対象から除外し、
当該従業員の賃金は前年度の平均賃金の 300%として保険料を算出します。
中国の失業保険は日本の雇用保険制度と似ていますが、中国では自己都合退職の場合は保 険給付が受けられない点や、失業保険制度の中に医療補助金と死亡補償金の制度がある点 など、日本の雇用保険制度とは異なる点があるため注意が必要です。
今週は以上となります。
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萩生田弘毅(はぎうだ ひろき)
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