こんにちは、中国・上海の小林です。
中国には、上海と深センの2か所に証券取引所があり、それぞれ931社、1,411社の企業が株式を公開しています(2011年末の統計による)。
いわゆる中国株と呼ばれる、日本の投資家にもなじみの深い株式は、おもに香港株(H株)を指すことが多く、上海・深センで取引されている株式(A株およびB株)は日本では取り扱っている証券会社もまだ少ないのが現状です。
ちなみに、A株とは、人民元による取引が行われる株式のことで、現状中国国内の投資家のみが取引可能な株式となっています。それに対し、B株とは、USドル(上海)、香港ドル(深セン)で取引が行われる株式で、かつては外国人投資家のみが取引を行っておりましたが、2001年より中国国内投資家も取引できるようになりました。
中国企業もグローバル化し、東京やニューヨーク、ロンドンなどの海外の取引上で抒情しているケースも近年増えていますが、一方で香港を除く中国内地の取引所で上場を果たしている外資企業というのは非常に少ないのが現状です。これは、そもそも外商投資企業の上場に関する法制度が未整備であったことや、上場へのハードルが非常に高い(最低資本金5,000万元:A株の場合、国務院の許可といった要件を満たす必要があります。)ことや多くの外資企業が有限公司という形態で進出しており、株式有限公司に組織変更しなければならないことなどが理由としてあります。
一方で、外資企業の資金調達手段といえば、増資や親子ローンが一般的ですが、いずれも外国為替規制や多くの手続きがあり、タイムリーな資金調達がしにくい状況です。また、調達資金も外貨建てとなるので、人民元での資金調達手段は中国国内での借り入れや社債発行しかありません。
現在中国政府自体は外資系企業の上場を奨励しているという動きもあり、またA株での公開を行うと、人民元での資金調達が可能、上場申請コスト・上場維持コストも日本やアメリカに比べると低いというメリットもありますので、ある程度中国国内で成長し、また企業ブランドも確立できた外資企業にとっては、中国国内上場は一つの選択肢になりつつあるといえます。
以上です。