中国の時効制度について Q&A

こんにちは、中国・上海の三輪常敬です。

 

Q,

中国において、債権の時効について教えてください。

 

A,

中国では、民法通則の中で民事債権の時効(訴訟時効)について原則的な規定が定められています。それによると、債権の訴訟時効期間は原則として2年となっております(民法通則代135条)。なお、下記の債権は例外として1年とされております。

・身体障害を理由とする賠償請求権

・品質不合格かつそれを告知していない商品の販売に係る債権

・賃借料の債権

・寄託物の消滅・既存に係る債権

 

日本においては、債権の時効は実体権を消滅させる「消滅時効」とされているのに対し、中国の時効は前述のとおり「訴訟時効」になります。民法通則135条には「人民法院に対する民事権利保護の請求における訴訟時効期間は2年とし、法律に別段の定めがある場合を除く。」と記載されています。したがって、日本と中国の時効制度の考え方が異なるため、注意が必要です。

「訴訟時効」においては、訴訟時効期間2年が経過した場合、訴訟・請求権が消滅するだけで、実体権は有効に存続します。したがって、時効成立後に債務者が債権者に弁済したとしても、その行為は実体権に基づく債務の弁済する行為として、弁済は有効になります。

 

中国においては、日本と同様に「時効の中断」が認められています。「時効の中断」とは、一定の事由が生じた場合に、既に経過した期間が無効となり、当該事由が生じたときから改めて時効を進行させることを言います。中国では民法通則第140条の中で、下記の3点を時効の中断事由として規定しています。

 

・訴訟の提起

・債権者の権利要求

・債務者の履行の承諾

 

したがって、債権が時効にかかりそうになった場合は、上記のいずれかにより時効の進行を中断する必要があります。なお、実際の裁判では、これらの行為の存在を証明する必要があります。したがって、上記の時効の中断が生じる行為を行った証明書類を残しておくことも重要です。

 

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