中国の外貨取扱手続きの簡素化について

こんにちは、中国・上海の小林です。

中国では、企業が外貨を保有することや保有外貨の投資・貸付、外貨の人民元への両替などについて、非常に多岐にわたる規制を敷いています。このことが外国企業の対中投資への足かせの一つになっています。

そこへ一石を投じる形で、今回、国家外貨管理局が「直接投資外貨管理政策を更に改善・調整することに関する通達」(匯発[2012]59号)を公布しました。2012年12月17日(月)より施行されます。

本通達による主な改正点は以下の通りです。

・資本金口座等の外貨建口座の開設手続きの簡素化:
これまでの外貨管理局の認可を不要とし、銀行が主体となって審査を行い、申請内容に基づきオンライ上で外貨管理局に登録を行うことで開設が可能となります。
・登記地以外での資本金用外貨口座の開設が可能に:
会社の登記地のみで認められていた外貨資本金口座の開設が国内の遠隔地でも可能になります。
・出資検査の際の外貨管理局への報告手続きの簡素化:
出資検査(出資の払い込みを公認会計士が検証する制度)の際に、紙ベースで行っていた検査結果の外貨管理局への提出がオンラインでできるようになります。
・配当・減資・清算時の国外投資者への送金資金の外貨転の手続きの簡素化:
外国の投資者への資金還流の際の資金を外貨に転ずることが銀行への申請によって行うことができるようになります。
・外貨資本金の元転の手続きの簡素化:
外貨建ての資本金口座の資金を人民元に両替(元転)する際、以前は銀行経由での外貨管理局への必要書類の提出を行ったうえで元転を行う必要がありましたが、銀行によるオンラインでの届け出によって元転が可能となります。

その他、外商投資企業の利益の外貨による再投資や外商投資性公司の外貨による再投資などについてもそれぞれ簡素化が図られています(本通達はあくまでも直接投資にかかる外貨の取り扱いについての規定で、貿易決済やその他商取引における外貨に関しては従来通りの規制があります)。

上述のように、外貨取り扱いについては、その多くの業務が外貨管理局への事前申請方式から銀行経由のオンライン申請方式と変更しています。事前申請が省かれた分、各種手続きの短縮はある程度期待できるかもしれませんが、実際の銀行の対応も含めて今のところはっきりとした効果については何とも言えないところです。

以上です。

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