中国の最低賃金について

こんにちは、中国・上海の小林です。

今日は、中国における最低賃金制度について述べたいと思います。

中国では、2004年に労働社会保障部(現:人力資源社会保障部)が公布した「中華人民共和国最低賃金規定」に基づき、日本と同じように地方(省・自治区・直轄市)ごとに最低賃金が定められております。最低賃金は全日制就業労働者には最低月給を、非全日制の就業労働者には最低時給をそれぞれ定めています。最低賃金の算定は、各地方の生活水準や社会保険料、失業率などから、比重法やエンゲル係数法といった統計的手法を用いて算出されます。また、最低2年に一度は各地方行政部門が最低賃金を見直し、地方人民政府の承認を受けて公表し、その後中央政府の労働社会保障部の承認を経て実施が確定することになります。

また、各企業は最低賃金の公表が行われてから10日以内に、自社の従業員に最低賃金の基準の変更を公示しなければならないと定められています。

仮に歩合制・出来高制の給与基準を採用している企業であっても、この最低賃金以上に賃金を支給しなければならないとされています。

企業が最低賃金を下回る賃金を労働者に支給した場合は、行政部門の指導により一定期限内に不足分を支給しなければならないばかりか、不足分の1倍から5倍に当たる額を倍調金として支払うよう命令を受けることもありますので、十分に注意が必要です。

さて、最新の地方ごとの最低賃金水準ですが、月給の最高が広東省深セン市の1,500元で、続いて上海市が2位の1,450元となっています。また、時給の最高は北京市の14元です。

なお、都市部では最低賃金で労働者を雇用できるということはほとんど皆無に等しく、ある程度同業他社の給与相場などを研究して、賃金体系を定めるというのが一般的です。しかしながら、人力資源社会保障局が10月25日に行った記者会見では、今年9月までに18の省・自治区・直轄市が最低賃金の引き上げを行い、その上昇率は平均19.4%であったという発表があり、中国における人件費はなおも爆発的に上昇していることが窺い知れ、これが企業における賃金水準にも少なからず影響を与えることに変わりはないと思います。

以上です。

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