こんにちは、中国・上海の田中勇です。
本日は中国マーケットと日本企業の取るべき戦略についてお話しします。
上海の町を歩いていると、とにかく食べ物屋さんが多いことに気づきます。ローカルの食堂から外資のお店(すき家、マクドナルド等)まで多くの店があります。実際、お店に入ってみると、各店のサービスのクオリティーの違いに驚かされます。外資系のお店や日本人が営む食堂は、ある程度日本並みのサービスを提供してくれます。一方、ローカルの食堂に行くと、日本では考えられないようなロークオリティサービスが多くあるのです。まず、進んでお茶を汲んでくれる人はほとんどいません。さらに、会計時にもお釣りの渡し方は非常に雑で、平気でくしゃくしゃの丸くなった紙幣を渡してきます。すべてのローカルの食堂がそうではありませんが、日本と比較するとサービスクオリティが低いことが多いです。
経済発展を遂げた上海でそのようなロークオリティサービスが多くあるという事実は、中国ではハイクオリティのサービスのニーズはないことを示しているのでしょうか。私は決してそうは思いません。日本に行ったことのある上海の人は、みな口をそろえて「日本のサービスはすごい、日本に住みたい」と言います。一方、日本に行ったことがない上海人または外資のチェーン店にあまり行ったことがない人は、「よくわからない」というのです。つまり、自国と他国のサービスクオリティに気づいていない方が多いため、未だハイクオリティのサービスが浸透していないだけで、ハイクオリティサービスのニーズは大いにあると私は考えるのです。
マクロ経済の視点から見てみましょう。上海の一人あたりのGDPは1万ドルを超えており、「先進国並み」の消費マーケットがあるといわれております。ところが、GDPの内訳をみるとサービス業がまだ5割を超えたぐらいなのです。先進国ではサービス業が約8割の内訳になっているので、上海ではまだまだサービス業は発展余地があると考えられます。また、中国全土を見ても、一人あたりのGDPは5,414ドル(2011年)であり、3,000ドルを超えると高級品の消費が加速すると言われる領域に達している都市が多くあります。さらに、中国では2011年間末現在で1億元以上(約12億円)を持つ富裕層が102万人になりました。これらの富裕層が高級志向になっているのは当然であり、今後、高級品やハイクオリティのサービスが発展していくのは明らかといえます。
ここで、日本企業の取るべき戦略として、ハイエンド顧客層をターゲットとして高いブランド価値を創り出し、ローカル企業との価格競争を避けることが重要と言えます。つまり、ハイエンド層に限定した参入マーケティング戦略です。ブランド価値が市場に浸透すれば、ローエンド層に対するアプローチも非常に容易になります。もう一つ重要なのは、いかにそのブランド価値をマーケットに浸透させるかです。そのためには非常に綿密なマーケティングが必要です。中国市場に詳しいコンサルタントに依頼するなど専門家と共同のマーケティングが重要と言えます。
以上です。