中国の休眠会社制度について Q&A

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。

 

Q1.

中国への進出を検討していますが、事前に休眠会社制度や撤退のリスクについても把握しておきたいです。中国には休眠会社制度はありますか。また、撤退(清算)の際の手順やリスクについて教えて下さい。

A.

まず、中国には休眠会社制度はありません。休眠会社制度がある国では、休眠会社としての申請を行うことで、一定期間にわたり経営活動を行わなくとも、合法的に会社存続させることが可能です。休眠会社中は税務申告など法務、税務上の届出が必要になります。 ところが、中国にはそのような制度ありませんので、実態として事業を行わない期間においても、月次・年次での法務・税務上の手続きが必要となります。具体的には、月次の税務申告や年度監査・報告等が最低限必要な手続きとして挙げられます。さらに、これらの手続きを行わなかった場合は、行政処分や罰金のみならず、法定代表人の出国制限を受けることもあります。

 

また、撤退(清算)についての概要は、法務問題と税務問題、労務問題に分けられます。

法務については、董事会の全会一致をもって、商務部門へ解散申請の認可を得る必要があります。通常、申請から10営業日で結果が届きます。その後、清算委員会結成(董事の中から選任、または弁護士・会計士等の専門家に依頼する場合が多い)し、債権者への通知・新聞での告知を行います。最後、会社財産整理・分配を行い、各政府機関への登録抹消を行います。

税務については、税務局への登録抹消の際、税務調査を受けることが多いです。調査時に、個人所得税、企業所得税、印紙税などの未納税金が発見されれば、追徴課税が行われます。追徴の時効は基本的に3年ですが、意図的な過少納付と判断された際は時効がありません(租税徴収管理弁法 第52条)。調査期間としては、実務上半年以降続くケースが多いため、十分な注意を要します。

労務については、労務契約解除による経済補償金が発生します。ここで、経済補償金とは、労務契約解除時に会社から従業員へ一括で支払われる補助金を意味します。保証金額は、労務契約終了前12カ月の平均月給×勤続年数で計算されます。そのため、勤続年数が10年を超える従業員の場合は、当該従業員の年収に相当する経済補償金を支払うことになります。

上記のように撤退する際は、進出時以上に煩雑な手続きが多いです。進出する際は、撤退も含めた事業計画を作成することをお勧めします。

 

 

 

以上です。

 

<新サービス登場>

                          

海外進出質問サービス

 

関連記事

ページ上部へ戻る