労働契約法改正

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

中国は2月9日よりお正月(春節)に入りました。上海では、一日中花火が打ち上げられており、夜もよく眠れません。住宅街の小さな路地でも大きな花火が打ち上げられるため、窓ガラスが震えるほどです。


【住宅街の道路での打ち上げ花火】天山路×天中路

しかしながら、ほとんどの総経理にとって、眠れない原因は花火音だけでないはずです。その大きなひとつの原因として、労働契約法改正が挙げられます。本日は、2013年7月1日より施行される「労働契約法」についてお話します。

2012年12月28日の第11期全人代常務委員会第30回会議にて労働契約法が改正公布されました。その改正内容は、以下の4つです。

①労務派遣会社の設立要件の厳格化(第57条)
②同一労働・同一報酬の徹底(第63条)
③派遣労働における業務範囲の明確化(第66条)
④罰則規定の強化(第92条)

①については、労務派遣会社の登録資本金最低金額が50万元→200万元となりました。また、労務派遣企業は、固定の経営場所及び施設を持たなければいけない等、労務派遣企業の設立要件が厳しくなりました。②については、これまで明確にされていなかった「同一労働・同一報酬の権利」の内容が明確になりました。具体的には、雇用会社は、派遣社員に対し、自社が直接雇用する同等の職位の社員と同等の報酬を与えなければいけないこと等が定められました。③については、旧「労働契約法」では三性(臨時的、補助的、代替性)の職位において労務派遣が実施できると規定されていました。今回の改正では、三性に対する詳しい内容が追加されました。それぞれ簡単にご説明すると以下の通りです。臨時性→派遣契約期間が6ヶ月を超えない、補助性→主要業務を補助する業務、代替性→従業員が病気・産休等で正常出勤ができない場合という内容です。さらに、雇用会社は、労働派遣社員の雇用者総数に対する一定割合を超えてはならないと規定されました。具体的な割合は国務院の労働行政部門が別途規定します。④については、違法所得の1倍以上5倍以下の罰金に処する等の厳しい処理が追加されました。

最後に、現在派遣社員を多く抱える日系企業が上記の規定に対して、具体的にどのように対応すべきかをお話します。まず、雇用契約関連でいえば、現在締結済の労働契約・労務派遣合意はその期限満了まで継続履行が可能です。(経過措置により)しかしながら、同一労働・同一報酬の権利を阻害するような労務派遣合意であれば、期限満了前であっても、賃金調整を実施する必要があります。次に、労働派遣社員の雇用者総数に対する一定割合についていえば、地域によって異なる対応が必要になると考えられます。したがって、最新情報の収集、中国当局の見解、通達のチェック等の迅速な対応が必要です。

以上です

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