こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も、前回に続き、日本と中国の不正の違いについてお話します。
③法律上の責任追及について、国営企業等が関わる大きな汚職事件を除き、企業内における不正が法律で裁かれることは少ないです。その理由は、日系企業と中国人との間の刑事事件については、政治的調整が図られることが挙げられます。また、不正を行っていることは明らかであるのに関わらず、決定的な証拠を集めることができないという理由もあります。結果として、企業は不正を実行した者に対し、解雇や退職金支払保留等の社内制裁を与えるケースが多いのが実態です。さらに、公安局、中国司法当局等の法執行機関は、企業の不正事件にはあまり積極的ではないのが実情です。したがって、自社内で不正が起きるのを防ぐのが最も重要であるといえます。
④匿名の告発について、中国では匿名の告発より不正が発覚することが多いです。告発をもとに調査することよって、通常なら見つけられないような細かい不正であっても、不正実行者の現行犯逮捕や証拠を得ることができる可能性が高くなります。しかしながら、告発者が最終的に命を奪われるなどの事件も発生しています。したがって、企業としては、告発が安心してできるような体制(情報元がばれないような体制等)や仕組み作り(通報者への報酬等)を作っておくのが重要になります。
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