中国における会計締めについて Q&A

 

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。

 

Q、会計締めが翌月の15日前後になっています。もっと早く締めたいと思っていますが、中国では実施可能でしょうか。

A、可能です。即時決算(翌営業日1目で締めている)を実施している会社もあります。会社によって、早く締めることができない要因はそれぞれですが、主な要因を3つあげると以下の通りです。

 

①労務費を計算するのに工数がかかる

②銀行明細の確認に工数がかかる

③請求書や経費精算等の証憑の回収のタイミングが遅い

 

まず、①の労務費の計算について、翌月になってから前月の労務費を集計するケースが見受けられます。すぐに集計できるというのであれば問題ありませんが、多くの部門を持つ工場等は、翌営業日1日目で会計締めを行うことを想定すると、ボトルネックになってしまいます。対策としては、月末2日前あたりに、月初から月末3日前の労務費集計を一旦行い、配賦等を行うことが非常に有効です。残りの月末2日前~月末までの分は、予測で入れて集計を行います。月末時には、予測と実際の差額を再度計算するのみで処理を完了することができます。

 次に、②の銀行明細の確認について、こちらも翌月になってから前月の銀行明細の確認を行うケースが見受けられます。ところが、予期しない引き落としや入金があると、問い合わせや確認だけで工数がかかり、会計締めが遅れることがあります。対策としては、月初から15日または20日までの明細を一旦月中に確認することが有効です。銀行明細が多い会社などは、週ごとや1日ごとに確認するのが望ましいです。月中に銀行明細を確認することで、前月の銀行明細確認にかける工数を減らすことが可能になります。翌月稼働1日目には、前月の銀行残高確認のみで終わらせるのが理想的です。また、不測の事態が起きた時に、すぐに確認や問い合わせを行うことで、他部門や他社からの反応も早まり、工数を減らすことができるという効果もあります。現在では、中国でもネットバンキングが主流になってきておりますので、確実に可能な対策と言えます。

 最後に、③証憑の回収のタイミングについては、他部門からの証憑回収が遅れ、月末に会計業務が増え、結果として会計締めが遅れているというケースが見受けられます。適正な会計データを作るという視点からすると、当月分に発生した取引は当月分に正確に認識するのが原則です。ところが、会計データの作成が遅れ、会社の重要な意思決定がすぐに行うことができなければ、会社として大きな損害を被ることもあります。対策としては、関係者(株主や銀行等)や会社管理に大きな影響を及ぼさない小さな取引については、翌月に処理するか、もしくは当月では見積金額で処理することが有効です。

 

 

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