皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア企業経営のお困りごと:人の問題」についてお話しします。
前回考察したカンボジアにおける企業経営での3つのお困りごとの1番目、人の問題についてお話しします。
カンボジアでよく耳にする人の問題の多くは、教育水準の違い、仕事に対する考え方の違い等多くありますが、最も大きいものは、現地日本人とカンボジア人社員の立場による危機感のギャップです。
せっかく育てた社員が突然転職し、計画を立てても社員の行動が伴わないなど、現地責任者として企業を運営、成長させようとする日本人と、給与のために働く社員との危機感では非常に大きな違いがあり、多くの企業がそのギャップを埋めることができていません。
このようなギャップが起こる一つの要因として、多くのカンボジア人がスキル志向であるということが挙げられます。カンボジア人社員の意識が技術や経験といった自身のキャリアアップに向いており、自身のためにならないと思うことはやりたがらず、短期間での転職や仕事の生産性を落としているのです。
しかし、スキル志向であることそのものが真の問題であるとも言えません。カンボジアのような若く弱肉強食の色が強い労働市場では、補償も年金もなく、定年退職を望める会社などまず無いため、カンボジア人にとっては自分の能力だけが頼りとなります。そのため、スキル志向であることがむしろカンボジア人にとっては普通の状態になります。
それでは、企業はどうしたらこの危機感のギャップを解消できるのでしょうか。冒頭にもお話ししましたが、カンボジア人社員の意識を変える必要があります。しかし意識を変えるには非常に時間が掛かり、その上時間を掛けた割には意識が変わらないことも多くあります。
カンボジア人の性質がそもそもスキル志向であるならば、スキル志向そのものを変える必要はなく、カンボジア人の考えるスキルの向上、経験の蓄積を、顧客志向、企業の目標や業績と一致させる必要があります。つまり、社員個人の能力が向上することにより、顧客へのサービスや企業の実績のどの部分の向上に直結するのかを可視化し、社員に理解させなければなりません。
また、この際に意識だけを先に変えようとしても、必ず失敗します。そこには必ず行動の変化も伴わなければなりません。これについては、次のカンボジアにおける企業経営でのお困りごとの2番目、プロセスの問題にてお話ししたいと思います。
株式会社東京コンサルティングファーム カンボジア拠点
西山 翔太郎
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