皆様、こんにちは。安藤です。
今回は、カンボジアの会計原則についてお話ししたいと思います。
カンボジアの会計は、国際会計基準をベースにして作成されています。
2003年にミャンマーで開催された第76回ASEAN会計士連盟会議において、同連盟に加盟しており、カンボジア政府も同年初頭より国内および国際的な財務報告に関する高度な会計基準の完全実施を開始しています。
2002年に「企業会計、監査及び会計業に関する法律(Law on Corporate Accounting、Audit and Accounting Profession)」が制定され、引き続き、2003年に「カンボジア公認会計士・監査士協会に関する政令(Sub-Decree on the Kampuchea Institute of Certified Public Accountants and Auditors (KICPAA)」及び「国家会計評議会の機能に関する政令(Sub-Decree on the functioning of the National Accounting Council (NAC))」が交付されました。
同法では、第8条から第13条で財務諸表の内容を規定しています。
各条項における会計のポイントとしては、
・自然人か法人であるかを問わず、全ての企業体は会計簿を記帳し、法に定められた規定に従い監査を受けることを要するということ(第3条)
・財務諸表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書及び注記を含むもので、これら全てが財務諸表の一部をなすものとみなすということ(第8条)
・会計記録はクメール語及びリエル表記で作成されなければなりません。外国との取引がある企業または外国企業の子会社は、クメール語及びリエル表記の会計記録とともに、並行して英語及びリエル以外の通貨表記で会計記録を作成することが出来るということ(第9条)
・会計年度は、12ヶ月。会計年度は1月1日に始まり同じ年の12月31日に終了となります。新規設立企業の場合には、最初の会計年度を企業創立の日から始め翌年度の12月31日までとすることができます(第10条)
・財務諸表は会計年度終了から3カ月以内に作成されなければならなりません(第11条)
・財務諸表と対応する元帳および証拠書類は最低10年間保存しなければなりません(第12条)
また同法第16条により、企業の売上高、総資産または従業員数が2007年7月26日付けの経済財務省令No.643により定められた基準を超える場合には、公認会計士・監査士による企業監査が義務付けられています。
カンボジアの会計・監査基準は、現状、2008年より18項目のカンボジア会計基準(Cambodian Accounting Standards:CAS)と10項目のカンボジア監査基準(Cambodian Standards on Auditing:CSA)、及び、2つの財務諸表作成基準(Financial Reporting Standards:CFRS)が採用されています。以下の表にて、まとめております。
CAS
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CSA
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CFRS
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そして2009年1月、NACは中小企業を除くカンボジア国内で活動を行う全ての法人に対しIFRSの全面適用することを宣言し、IFRSのクメール語翻訳を進めました。その後、IFRSと整合させるための改訂作業が続けられ、現在では、一部未発行の基準もありますが、IFRSとほぼ同等のカンボジア財務報告基準(CIFRS:Cambodian International Financial Reporting Standards)が整備されました。
2012年1月より、金融、保険、上場企業については、IFRSを適用した、CIFRSの完全適用が義務化されました。その他の会計士監査の対象企業は、中小企業向け会計基準(CIFRS for SMEs:Cambodian International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities)を適用し、CIFRSに自主的に準拠することも認められています。
会計は、国際会計基準となっているため、基本的には日本と変わりはないと思います。また、国際のものをベースとしているからこそ、安心しやりやすいように思います。
一方で、カンボジアの税務は、日本との相違が多く、取り締まりが年々厳しくなってきております、社内で税務申告などをしている企業は、逐次変わる状況を把握する必要があるでしょう。
今週は、以上とします。
今週も読んでいただき、誠に有難うございます。
次回も皆様に有益な情報を提供できたらと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。
安藤 朋美