皆様、こんにちは。安藤です。
今回は、カンボジアの労働組合についてお伝えしたいと思います。
労使関係による最近の動向では、
全国レベルの労使関係に関しては、使用者組織は「カンボジア使用者協会(CAMFEBA)」に統一されています。一方で、労働組合は運動の路線や経緯、支持する政党の違いの関係で10を超える団体が存在しております。
全国レベルの労使テーマとしては、最低賃金、労働法制、社会保障などがあります。近年では、焦点が当てられていた一つとして、「最低賃金」への対応だといえます。2000年は月額50ドルから2018年には170ドルと急激に上がりました。
また、産業や地域レベルの労使関係に関しては、中心は国の主力産業である「繊維・被服産業」にあります。代表的な使用者団体は、「カンボジア縫製製造業協会(GMAC)」です。労働組合は、主要な全国団体の参加にそれぞれ繊維関係の組合があり、労使関係に一定の実態があります。
この他に、観光・サービス産業、建設産業、食品産業などでは労使関係の枠組みができつつあると言われております。しかし、教員と公務関係は、労働組合の結成が認められておらず、「労働者協会(Worker’s Association)」が組織されています。
上記でも出て来ましたが、カンボジアの使用者団体は、大きく2団体となっております。
1つは、カンボジア使用者協会(CAMFEBA)です。
2000年より結成されているカンボジアを代表する団体です。2018年7月時点で、9つの産業別団体があり、約260の企業と約30の非営利団体が加入しています。また、ASEAN連合やアジア太平洋雇用主体連合のメンバーとしても活動する団体です。
民間の産業セクターを取りまとめ、良好な労使関係づくりや産業政策の実現、加盟組織の支援などを進めています。2016年に労働組合法が制定されており、この団体は法案の具体的内容などに大きく影響を与えた役割を果たしています。
もう1つは、カンボジア縫製製造業協会(GMAC)です。
この団体は、カンボジアの産業別の使用者団体の中で、国の主力産業の組織として強い影響力を持っています。1996年にアメリカが最恵国待遇を供与に伴い成長が動き出すとともに使用者団体の形成がすすみ、1999年に今日の組織として発足しました。政府の繊維産業政策や労働政策への関与を続けており、CAMFEBAと同様に労働組合法の制定に関わっています。
労働団体は、2017年時点で全国労働団体として大小13ほどのナショナルセンターがあるといわれています。そのうち、カンボジア労働組合連盟、カンボジア労働組合連合、カンボジア労働総連合という3つの主要な組織があります。これらは、国際労働組合総連合(International Trade Union Confederation, ITUC)に加盟し、2012年にITUCカンボジア加盟組織協議会(ITUC-Cambodia Council, ITUC-CC)を結成しています。
カンボジア労働組合連盟(Cambodian Confederation of Trade Unions, CCTU)は、
カンボジア人民党(旧人民革命党・与党)系の労働組合が2003年に結成した組織です。政治的には与党・人民党を支持する労働組合のグループであり、フン・セン氏(人民党議長)とも近い関係にあるといわれています。
カンボジア労働組合連合(Cambodia Confederation of Unions, CCU)は、
旧カンボジア民主党系(現救国党系・野党)の労働組合により2006年に結成された組織です。現在は政府に対して最低賃金の引上げや労働法制改正の要求を行うとともに、企業レベルの労働争議の支援などの運動をすすめています。
カンボジア労働総連合(Cambodia Labor Confederation, CLC)は、
民主化を推進する労働組合のグループのうち、政党との関係では中立的なグループがCCUとは別に2006年に結成した組織です。欧米の労働団体、支援組織から支持を受け、教育活動を行うほか、人材面でのNGOとの交流もあります。経済成長に見合う労働条件の実現を求めており、最低賃金引上げについての大衆運動を組織し、2013年などにはゼネラルストライキも行っていました。
以上、カンボジアでは日々労働組合が労働環境を良くするための活動を行っているということが考えられます。しかし、国レベルでは、労働政策が政府の審議会などで意見が交わされ、主要な課題については労使間の対話も行われているが、その関係が成熟しているとは言い難いともいわれています。
しかしながら、今後もますます上記の活動が進み、労働法の整備や環境は変わって行くでしょう。
今週は、以上となります。
大変長文でありながら、拝読いただき有難うございました。
皆様のカンボジア滞在・経営のサポートとなれば、幸いです。
安藤