「取締役会」

法務

皆様、こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今週もカンボジアの会社法について、皆様にわかりやすくご説明させていただきたいと思います。

 

 今回は取締役会についてご説明させていただきます。カンボジアでは、解釈上、取締役会は必ず設けなければならず、取締役会非設置会社に関しては認められておりません(119条)。また、カンボジア王国において少なくとも3か月に一度は開催することが求められています(128条3項)。取締役の権限は119条に述べられている通りですが、基本的に取締役会でそれらの方針を決めることになります。

 取締役会の招集は128条1項にあるように、全取締役の3分の1以上をもって、取締役会議長が招集することになります。取締役会はカンボジア王国のどこかにおいて実際に開催されることが求められるが、書面による議事の進行も認められています(129条)また、取締役会は各種委員会を書面決議によって決めることができ、取締役の業務を委任することができます。しかし、各種委員会に決定を委任することができない事項も定められています(130条後半)

 取締役会の定足数は取締役の過半数の出席であります。(132条)決議要件に関しては会社法上定められていませんので会社が任意に決定していく必要があります。

 

 

第119条(取締役の権限)

取締役会は会社の事業を経営し、業務を執行しなければならない。定款には次に掲げる取締役の権限を記載しなければならない。

(1)執行役員の任免及び権限の決定

(2)執行役員の給与及びその他報酬の決定

(3)取締役の給与又は報酬額に関する議案の作成及び株主への提案

(4)手形、社債、無担保債券及びその他の債務証書の発行、及び、これらの本質的、相対的及び付随的内容の決定

(5)株主への定款の修正及び削除の提案

(6)株主への吸収合併及び新設合併の提案

(7)株主への会社財産の全て又は重要な一部の譲渡の提案

(8)株主への解散及び清算の提案

(9)会計原則と各種類株式の支払条件に従った配当宣言

(10)定款で認められた範囲での株式発行

(11)借入

(12)証券の発行、再発行及び売却

(13)保証

(14)会社債務を被担保債権とする会社財産に対する抵当権の設定、担保契約、入質又はその他の担保権の設定

(15)各会計年度の決算書の作成及び株主総会への年次財務諸表の提出

第128条(取締役会の招集)

1取締役会議長は、取締役会を招集する権限を有する。取締役会は、全取締役数の3分の1によって招集することができる。

2定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会はカンボジア王国内において開催されるものとする。

3取締役会は、3か月に1回以上開催されるものとする。取締役会決議は、会議に出席した取締役又はその代理人による過半数もって行うものとする。

第129条(取締役会招集通知)

1取締役会は、招集通知に記載された場所であればどこであっても開催することができる。通知には、その日付と会議の議題の詳細を記載するものとする。

2取締役は、取締役会の招集通知を受けることを放棄することができる。取締役が当該取締役会に出席した場合、当該取締役は、招集通知を受けることを放棄したとみなされるが、この場合においても、当該取締役会が適法に招集されていないことを理由として、当該取締役会における手続について、これに異議を述べることができる。

第130条(取締役会の協議)

1定款に別段の定めがある場合を除き、取締役は取締役間の書面によるやりとりにより、取締役会の議事を行うことができる。

2各取締役は、検討及び決議のために提案された議案内容、関連情報並びに同議案についての投票表紙を受け取るものとする。

3全取締役が議案に賛成票を投じた場合、当該議案は取締役会によって承認されたとみなされる。

4取締役の書面によるやりとりは、全て、取締役会の記録の一部となるものとする。書記は、取締役の書面によるやりとりに関する議事録を作成し、全取締役にこれを送付するものとする。

第131条(委員会)

取締役会は、必要と認められる場合、業務を円滑にするために委員会を設置することができる。委員会は、取締役会の過半数による書面決議をもって設置することができる。各委員会は、取締役会の過半数をもって指名された1人以上の取締役によって構成される。委員会は、取締役会と同様の方法で、会議を進行するものとする。各委員会は、これを設置する際の書面決議をもって、その権限を付与されるものとする。ただし、次に掲げる事項については、委員会に対し、いかなる権限も付与することはできない。

(a)株主への定款又は社内規則の修正の提案

(b)株主への吸収合併又は新設合併の提案

(c)株主への会社財産の全て又は重要な一部の譲渡の提案

(d)株主への解散及び清算の提案

(e)配当

(f)株式の発行

第132条(会議の進行)

1取締役会及び委員会は、全取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)の出席によって定足数を満たす。

2各取締役は、一議決権を有するものとする。取締役は、他の取締役の署名がある委任状を有する場合、取締役会において当該取締役を代理することができる。

3書記は、取締役会の全ての会議の議事録を作成、保管し、全取締役にその写しを送付するものとする。

今週は以上です。

上記の点でご質問ございましたら kumagai.keisuke@tokyoconsultinggroup.com

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