前回(ブラジルにおける内部統制ついて①)に引き続きブラジル内部統制について解説致します。
ブラジル財務省(Secretaria da Fazenda)は、COSOフレームに基づく内部統制の導入をブラジル企業に対して推奨しています。推奨の背景としては、やはり頻発する汚職事件が主な理由といえるでしょう。
ブラジルは、2014年に企業腐敗防止法(LEI Nº 12.846, DE 1º DE AGOSTO DE 2013)を制定し、経済成長の抑制要因、海外からの投資の抑制要因とされた腐敗行為の取り締まりを強化しました。また、本法第7条において、統制プログラムの有無および有効性が行政処分の決定において考慮される旨、規定されています。つまり、有効と評価される内部統制メカニズムが導入されている企業については、罰則の軽減の可能性があることを示唆しています。(以下、本法該当条文)
LEI Nº 12.846, DE 1º DE AGOSTO DE 2013
Art. 7 Serão levados em consideração na aplicação das sanções:
VIII – a existência de mecanismos e procedimentos internos de integridade, auditoria e incentivo à denúncia de irregularidades e a aplicação efetiva de códigos de ética e de conduta no âmbito da pessoa jurídica;
Parágrafo único
Os parâmetros deavaliação de mecanismos e procedimentos previstos no inciso VIII do caput serão estabelecidos em regulamento do Poder Executivo federal.
LAW 12,846, DATED AUGUST 1ST, 2013
Article 7 The following aspects shall be taken into account in the application of sanctions:
VIII – The existence of internal integrity mechanisms and procedures, auditing and encouragement to whistle–blowing, as well as the effective implementation of codes of ethics and conduct within the legal person;
Sole paragraph
The parameters of evaluation of mechanisms and procedures provided for in item VIII of the caput shall be set forth in a Decree to be issued by the Federal Government.
2013年8月1日付法律第12,846号
第7条 以下の局面において処罰の適用を考慮する
VIII – 統制プログラムの存在と内部告発のプロセス、監査、奨励体制および効果的な行動規範、倫理規定の導入と法律家による運用
単項
VIIIにおけるメカニズムとプロセスの評価基準は、連邦政府が発行する法令において制定される。
ブラジルで事業を行っていると、ブラジル企業のコンプライアンスの順守は軽視される慣習があると見てとれます。それらを是正するために、政府は大規模な管理システムを立ち上げ、商取引の把握や納税額の管理における人の介在を減らす努力をしてきました。しかし、システムもやはり完ぺきでは無く、落とし穴や抜け道があります。また、システムによる管理強化が生み出した、所謂、グレーゾーンも多く存在します。そのため、特にM&Aでブラジル企業を買収した海外企業は、今までのやり方を正しいと認識しているブラジル企業の体制を見直す必要があります。これらのリスクを回避する上でも、ブラジル企業にとって、コーポレート・ガバナンスの強化及び有効性の高い内部統制の構築は非常に重要な経営課題です。
次回はブラジル企業における有効と評価される内部統制について解説していきます。
以上
Tokyo Consulting Firm Limitada
Diretor Presidente
金内 陽