バングラデシュで青年(Adolescent)を雇用する際の留意点について

労務

バングラデシュでは、労働法上、満14歳~18歳未満の青年の労働が認められています。

14歳~18歳未満の労働者は、労働法上、「青年(Adolescent)」として扱われ、成人労働者(満18歳以上の労働者を指す)よりも保護されるべき対象として、別途規定が設けられています。

18歳未満の人口の多いバングラデシュでは、特に工場や農村部において、青年が貴重な労働力となっています。しかし、一般的に青年(Adolescent)の労働規定に関しての認知度が低いために、労働法に遵守した形で雇用管理がなされていないケースも少なくありません。

今回は、①労働時間、②有給休暇(Annual Leave)の2点について紹介します。

 

①  労働時間

 

・成人労働者の場合、1日8時間、週48時間の労働が認められているのに対し、工場勤務の青年の場合は1日5時間、週30時間に制限されています。(労働法第41条1項)

残業については、労働法で定められている週の総労働時間36時間を超えない範囲内で可能ですが、予め残業開始の2時間前までに従業員からの同意を得る必要があります。

 

・19:00~翌7:00の時間帯の労働は労働法上認められていません。(労働法第41条3項)

 

・青年の副業は認められていません。(労働法第41条8項)

 

②  有給休暇(Annual Leave)

 

・入社時に、すべての労働者に与えられる臨時休暇(Casual Leave)と傷病休暇(Sick Leave)とは別に、勤続1年以上の青年労働者には成人労働者と同様に有給休暇(Annual Leave)が与えられます。(勤続1年未満で与えても問題ありません。) 

成人労働者は、18日に1日与えられるのに対して工場勤務の青年は、15日に1日と定められています。(労働法第117条2項)

(例)週6日勤務の青年の場合の有給休暇は、年間約21日となります。

 

・有給休暇(Annual Leave)は、翌年に繰り越しすることが可能です。工場勤務の青年労働者の場合、年間60日までの繰り越しが認められており、成人労働者のそれよりも20日多くなっています。(労働法第117条5項)

 

バングラデシュで青年労働者を雇用する場合は、雇用契約書や就業規則に青年の場合の労働時間や有給休暇について記載しておくことをおすすめします。労務管理を正しく整備することで、社員満足やコンプライアンスにも繋がります。上記の違反が発見された場合は、ペナルティが課せられる可能性があります。(労働法第284条)

 

 

以上

 

Tokyo Consulting Firm Limited

 

齋藤かおり

 

Tel: +880-1777-961437

 

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