皆さま、こんにちは。
東京コンサルティングファーム・ハノイ拠点の石川愛美です。
今回は、ベトナムの貿易収支について見ていきます。
貿易収支とは、簡単に言うと輸出額から輸入額を引いた金額です。
輸出よりも輸入の金額が多い場合、貿易赤字となり、輸入よりも輸出の金額多い場合、貿易黒字となります。
貿易赤字の時は国内経済が停滞しており、貿易黒字の時は国内経済が活性化しているといえるでしょう。
ベトナムはドイモイ政策がとられるようになってから、市場経済化と国際経済への積極的な参加が進められ貿易においても一貫して拡大路線を歩んでいます。
アジア通貨危機の影響で1999年代後半にやや停滞した時期がありましたが、21世紀に入ると輸出入ともに大幅に拡大しています。
世界金融危機の影響により、2009年には輸出入ともに前年比で減少したものの、2010年には回復、2012年には20年ぶりに輸出が輸入を超過し、その後も年々貿易額は上昇、貿易黒字が続いています。
2018年の貿易総額は4,805億6,618万ドルであり、前年に続いて過去最高額となりました。
輸出額は2,436億9,732万ドル(前年比13.3%増)、対する輸入額は2,368億6,886万ドル(前年比11.2%)でした。これにより、貿易収支は68億2.847万ドルと三年連続で過去最大の黒字額という結果になりました。
ベトナムは2006年11月に世界貿易機関(WTO)に加入し、またASEAN(東南アジア諸国連合)のFTA(自由貿易協定)である AFTA(ASEAN自由貿易地域)の加盟国としてさらに貿易の自由化を進めており、2015 年までにAFTA域内の輸入関税が撤廃されていました。
なお、ASEANの後進国であるベトナムには 3 年の猶予が設けられており、追加の関税撤廃措置がなされ、2018年に正式に関税撤廃が完了しました。
ベトナム貿易の特徴として、国内の製造業の裾野が育っていないことなどから、工業製品の多くの部品や原材料を輸入に頼り、比較的付加価値の少ない品目を多く輸出するという傾向があります。
そのため、貿易収支は常に赤字となっていました。しかし、近年は自動車や携帯電話などの国内生産が拡大して輸出増に貢献するようになりました。
2016年にはTPP(環太平洋バートナーシップ)の正式な参加国として加盟(2017年に米国が離脱宣言をしたため2019年にTPP11として発効)した影響から、貿易協定を新たに結び今後の輸出品目が増えていくことが予測されます。それによってベトナムの国際社会での立ち位置もより高まっていくことになるでしょう。
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東京コンサルティングファーム ハノイ拠点
石川愛美
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