有限会社の社員総会について①

法務

 

皆さん、こんにちは。
ベトナム、ハノイの黒木でございます。
前回に続き、ベトナムの有限会社の社員総会についてご紹介します。

 

■社員総会の開催条件

社員総会を開催するためには、二人以上有限会社の場合、定款に記載された出資総額の65%(具体的な割合は会社の定款の定めるところによる)以上の出資者の出席が必要になります。招集をしたにもかかわらず定足数に満たなかった場合には、その開催予定日から15日以内に再招集を行い、この場合は出資総額の50%以上の出資者が集まれば開催することができます(定款で変更可能)。それでも定足数に足りない場合、10日以内に招集をする必要があり、この場合には定足数の要件はなく、開催することができます(59条)。
一方、複数の委任代表者がいる一人有限会社の場合、出資総額の3分の2以上の社員が出席する場合には、社員総会を開催することができます。なお日程等の手続は、二人以上有限会社と同様です。

 

■社員総会の決議

社員総会の決議には、普通決議と特別決議があります。普通決議では、決算書類の承認、会長・社長などの役員の選解任を決議します。一方、特別決議では、定款の変更、重要な財産の処分、組織再編等、会社の重要事項について決議します。
二人以上有限会社において定款に異なる定めがない場合、普通決議では、出席者の出資総額の65%以上の賛成が必要となります。特別決議の場合には要件が厳しくなり、出席者の出資総額の75%以上の賛成が必要です。書面による意見聴取を行う場合には、賛成する社員の出資総額が法定資本の65%以上であれば、社員総会の決議が行われたことになります(具体的な割合は会社の定款の定めるところによる)(60条)。複数の委任代表者がいる一人有限会社の場合、普通決議では出席者の過半数の賛成により決議されます。特別決議では出席者の4分の3以上の賛成が必要となります(79条)。会社の定款に異なる定めがなければ、それぞれの社員は一票ずつ同等の価値の議決権を有します。また、一人有限会社においても書面による意見聴取を行うことが可能です。
いずれの場合も、 定款に定めることで決議要件を厳しくすることができますが、その反対に決議要件を緩めることはできないという点に注意が必要です。

 

■社員総会の議事録

社員総会で話し合った内容について、議事録を作成する必要があります。決議事項や、発表された意見などのほか、次の内容を記載する必要があります。議事録には出席した社員および委任代表者全員が署名をしなければなりません。二人以上有限会社も一人有限会社も同様の手続となります(61条、79条)。
・会議の時間、場所および目的、日程
・出席した社員および委任代表者の氏名、出資率、出資証明書番号および発行日、欠席した社員および委任代表者の氏名、出資率、出資証明書番号および発行日
・討論・議決された問題、会議で取り上げられた諸問題それぞれに対し発表された意見のまとめ
・上記以外に会議で発表された意見のまとめ
・議決された問題に対するそれぞれの総賛成票数、拒否票数
・承認された決議の内容
・出席した社員および委任代表者全員の氏名および署名

 

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東京コンサルティングファーム
ベトナム ハノイ

黒木 優志

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