ベトナムと日本の労働法の違い第4回

労務

皆さん、こんにちは。

ベトナム・ハノイ駐在員の神田です。

 

質問)

ベトナムと日本の労働法の違いを教えて下さい。

 

ベトナムと日本の労働法の違いについて複数回にわたり回答していきます。第4回は、「ベトナムの割増賃金の実情」について書いていきます。

 

<ベトナムの割増賃金について>

時間外労働(残業)は、最長でも1日の勤務時間の50%を超えることはできず、8時間労働の場合につきましては、1日4時間までが時間外労働の上限となります。又、月30時間以下、年間200時間以下の時間外労働(残業)でなければなりません。但し、労働法第106条では政府がっ規定する特別な業務のみ、年間300時間までの時間外労働(残業)が認められております。時間外労働をさせた場合、会社は労働者に対して通常の賃金に加えて、割増賃金を支払わなければなりません。

 

<ベトナムと日本の時間外労働の割増率>

勤務外労働を行った日

割増率(日本の割増率)

通常の労働日

150%(125%)

週休日または祭日

200%(135%)

法定祝日及び有給休暇中の労働

300%(規定なし)

 

<ベトナムと日本の深夜労働の割増率>

深夜時間帯(日本の深夜時間帯)

割増率(日本の割増率)

午後10時~翌日の午前5時(日本も同じ)

130%(125%)

 

<ベトナムと日本の深夜労働時間の時間外労働の割増>

夜間

平日(日本)

休日(日本)

祝日(日本)

深夜の時間外労働の割増率

195%(150%)

260%(160%)

390%(160%)

 

深夜時間外労働の割増率の計算は以下のようになります。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

(例)平日4時間(20~24時)の時間外労働を行った場合

20~22時の2時間 × 通常の賃金 × 150%

20~22時の2時間 × 通常の賃金 × 150% × 130% = 195%

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

さらに、次のような労働者は、労働法上残業又は深夜の時間帯の残業が禁じられています。

 

<労働法上残業及び深夜時間帯の残業が禁じられている労働者>

(ベトナム)

・妊娠7か月以上の女性労働者

・満12歳未満のこの教育をしている女性労働者

・労働能力の51%を失った身体障害者

・未成年労働者(但し、労働傷病兵社会問題省の定める職業・職務を除く。)

 

(日本)

・満18歳に満たない者(労働基準法第60条)

・年少者の深夜労働の制限(労働基準法第61条)

・妊産婦の時間外労働制限(労働基準法第66条)

・育児・介護を行う労働者の時間外労働制限

(育児介護休業法第7章 時間外労働の制限第17条)

・「介護」を行う労働者の時間外労働制限

(育児介護休業法第6章 所定外労働の制限第16条の8)

・「育児」「介護」を行う労働者の深夜労働制限

(育児介護休業法第8章 深夜業の制限第19条)

以上

 

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