ベトナムにおける駐在事務所設立手続き②

こんにちは、ホーチミン駐在員の嶋です。
前回に引き続きベトナムにおける駐在事務所の設立手続きについて見ていきます。前回は日本側での手続きを見ていきましたので、今回はベトナムでの設立の手続きについて見ていきます。
【ベトナム側でのプロセス】
③必要書類の翻訳及び公証
日本側で準備した上記書類をベトナムに翻訳する必要があります。ここで重要なことは、ベトナム政府が指定する翻訳機関で翻訳をする必要があるということです。さらに翻訳した書類を公証する必要があります。
翻訳に要する日数は、通常通常2週間ほどとなっており、翻訳に要する費用は、通常6ドル/1ページとなります。基本的には、翻訳した期間がそのまま公証まで行います。
④申請書類の作成
この作業が設立プロセス上最も、工数がかかり、最も慎重に進めるべきプロセスになります。下記がベトナム当局に申請する書類の一式となります。ここで注意すべきは、書類は全てベトナム語で作成する必要があるということです。英語などの外国語の書類の提出も可能ですが、同時に同一のベトナム語のものも提出する必要があります。ベトナム語と外国語のものに差異が生じた際は、ベトナム語のものが優先されることとなります。

※注意点1
上記書類は、いずれも親会社の代表印及びサインが必要となります。
※注意点2
申請書類の一つにオフィスの賃貸契約書があり、申請時の段階でオフィスの契約をしておく必要があります。
⑤申請書類・必要書類の申請
⑥ライセンス取得
書類の準備ができましたら、所轄の商工局に申請用紙一式を提出することになります。規則上は書類が受理されてから、通常は15営業日でライセンスを取得することができますが、延びるのが一般的です。また、追加書類を求められるケースもあります。
※注意点
ベトナムでの行政手続きは基本的に期限通りにいかないのが普通です。それを見越したうえでスケジュールを組む必要があります。また賄賂を要求されることもあります。
⑦ライセンス取得後に必要な業務
晴れてライセンスを取得した後も多数の必要な業務があります。下記のいずれも外国法人に義務付けられているものであり、怠るとペナルティになることがあります。駐在事務所に義務付けられているものとしては、具体的には以下のものがあります。
【設立後に必要な業務】
(ア)会社印の作成
公安局にて、ライセンス発行直後に会社印及び印鑑証明を取得します。駐在員事務所は、専門の業者に依頼して作成をした後、地域を管轄する公安局にて承認を行います。承認後、駐在員事務所の所長が直接公安局にて、受け取ります。委任状にて、他の者が代理で受け取ることもできます。
(イ)税コードの取得・登録
ライセンス取得後、10日以内に管轄の税務署にて税番号の取得を行います。
(ウ)会社設立の公告
ライセンス取得後、下記の内容を3回、45日以内に駐在事務所設立の告知を新聞または電子新聞にて3回行います。
・駐在員事務所の名称
・住所外国企業の名称
・住所駐在員事務所の代表者
・駐在員事務所の設立許可証の番号・日付
・期間駐在員事務所の活動内容 など
(エ)銀行口座の開設
銀行口座開設に必要な書類・手続きは銀行によって、異なるため事前に確認する必要があります。通常は以下の書類が必要となります。

(オ)事業報告書の作成
設立後に設立時の駐在事務所の状況を商工省に伝えます。
(カ)雇用契約書の作成
従業員の雇用と同時に雇用契約書を作成する必要があります。
(キ)就業規則の作成
従業員が10名以上の場合は、就業規則の作成が義務付けられます。
(ク)労働許可証の取得
ベトナムで外国人が働くためには労働許可証が必要となります。
(ケ)居住用のビザの取得
ベトナムで外国人が住むためには、居住用のビザが必要となります。
(コ)個人所得税の申告
毎月の申告及び年度末に確定申告を行う必要があります。
以上のことから、ベトナムでの駐在事務所の設立業務は、日本側手続きと現地合手続きが発生します。また、会社を設立した後も様々な業務が義務付けられており、書類も全てベトナム語で提出する必要がありますので、専門家に十分相談した上で駐在事務所の設立を実施する必要があります。

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