雇用契約書②

労務
こんにちは、ベトナム駐在員の嶋です。
前回の続きで、今回は雇用契約書の記載内容についてお話いたします。

■雇用契約書の記載内容

雇用契約書に記載する項目のサンプルとしては、下記が挙げられます。

【雇用契約書の規定項目例】
1.雇用者情報
2.被雇用者情報
3.契約形態
4.契約期間
5.勤務地
6.役職名及び職務内容
7.職務条件
8.被雇用者の義務及び権利
9.雇用者の義務及び権利
10.実施規定

以下に具体的な記載内容のポイントを解説します。 

「1.雇用者情報」
会社の法的代表者、会社所在地などを記載します。

「2.被雇用者情報」
非雇用者の氏名、住所、ID番号等を記載します。

「3.契約形態、4.契約期間」
ベトナムにおいて雇用契約を締結する場合は、期間の定めのある雇用契約及び期間の定めのない雇用契約の二つ形態があります。期間の定めのある雇用契約は12ヶ月から36ヶ月までの期間を設定することができます。上述の通り、期間の定めのない雇用契約とは、文字通り契約期間を設定することができず、定年退職までの期間雇用を継続することを意味する契約となります。

「5.勤務地」
被雇用者の実際の勤務地を記載する必要があります。ベトナム人の労働者は、通勤にかかる時間を非常に大切に考えるため、勤務地に関しても事前に同意を得ておくことが重要となります。

「6.役職名及び職務内容」
前述しましたが、ベトナム人との雇用契約を結ぶ場合は、職務内容及び職務範囲の雇用者及び被雇用者の同意が非常に重要となります。雇用契約者にて同意が得られていない、若しくは事前の説明のない業務を支持する場合にトラブルとなるケースも多く見られます。

「7.職務条件」
職務条件には、勤務時間及び勤務日数を記載します。労働法にて週の勤務時間は、上限48時間と定められています。工場等の製造業の場合には、週の勤務時間を48時間とし、月曜日から土曜日の勤務としているケースもありますが、サービス業等の業種では、週の勤務時間を40時間としているケースも多く見られます。 また、労働法にて週の勤務時間を40時間とすることを推奨しています。

「8.被雇用者の権利及び義務」
権利の項目として、被雇用者の給与、手当てなどを記載します。給与の額については基本給与の額を記載しますが、企業によっては、求人募集及び採用面接の際に被雇用者と給与額をネット額にて決定しているケースもあるかと思いますが、雇用契約書には、グロス額を記載しなければなりません。これは、社会保険及び健康保険の納付額の計算を雇用契約書上の給与及び手当て額を算定の基礎とするためとなります。社会保険局はネット額表示による雇用契約書を認めていません。また、給与の通貨に関しては、ベトナムドンを使用しなければなりません。外国人の雇用契約書に限り例外として、外国通貨での表示をすることができます。

雇用契約の締結は法定されているだけではなく、社会保険及び健康保険の加入の際に、加入する被雇用者の雇用契約書を人民委員会労働局に登録する必要があります。提出の際に労働局の署員により内容の精査が行われるため、雇用契約書の内容は労働法に準拠したものにする必要があります。内容に不備があった場合には、受理を拒否される可能性があります。

雇用契約書の作成は、労働者の就労に関わる大変重要な事項ですので、事前に十分な準備と検討を重ねて雇用契約書を作成することが必要です。

以上

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