【ベトナムの会計について①】

会計

ベトナム拠点の花嶋です。
今月は「これならわかる、会社の財務~ベトナム財務~」シリーズでお送りします。

 

営業職や技術職をお勤めされる中であまり決算書を見る機会がなかったけれど、海外子会社に来て必然的にみる必要が出てきたという方向けに、会社のお金を考えるときにみておくべきポイントを押さえて解説していきます。

コロナ禍でコスト意識も高まっている傾向もありますので、この機にこれを通して、すべての社員が会社への貢献を意識して正しく頑張っていける仕組みづくりを一緒に目指していければと思います。

 

今回のテーマは、「ベトナムの会計について」です。

 

  1. 会計基準
  2. 会計年度
  3. 会計監査
  4. 通貨と言語
  5. チーフアカウンタント
  6. 財務諸表
  7. 会計帳簿
  8. 会計のフォーマット
  9. 固定資産
  10. その他

 

  1. 会計基準

ベトナムの会計はかつて南北で別の会計基準があったとされていますが、現在は南北統一されており、国際会計基準を参考にしながら、ベトナム独自の会計制度に移り変わっています。ベトナムでは、2015年に制定された会計法、ガイダンス、ベトナム会計基準(VAS)等のルールに沿って会計業務を行っていきます。また、ベトナムの会計は勘定科目コードが決まっています。大項目(3桁)と中項目(4桁)あります。法律上は明記がありませんが、実務上は、サブコード(5桁)を追加的に作成、利用することもあります。

 

2.会計年度

ベトナムの会計年度は原則12月となっています。ただし、そのほかにも3月、6月、9月と会計年度を選択することが可能です。

 

3.会計監査

外資系企業は、独立した会計監査法人により、年次財務諸表の監査を受けなければなりません。監査報告書は、決算日から90日以内に政府当局に提出します。ただし、設立したばかりで初年度が3ヵ月未満である場合、初年度と翌年度を合わせた計15ヵ月を対象に法定監査を受けることが可能です。この場合には、初年度内に事前に財務省に届け出を出すことが必要です。

 

  1. 通貨と言語

通貨単位は、原則ベトナムドン(VND)が使われます。よって会計帳簿をつけるときにはベトナム語で記帳することになります。海外との取引がある場合には、USDで記帳をすることも認められています。ただし、最終的にはベトナムドンに直して政府当局には出すことになります。また、英語や日本語等の外国語の併記をすることも可能ですが、ベトナム語も併記した上で外国語を使います。

 

5.チーフアカウンタント制度

設立初年度は会計責任者を任命すればチーフアカウンタントを置くことが免除されます。ただし、設立2年度から任命する必要があります。チーフアカウンタントは、チーフアカウンタントという資格を持った人が就くことができます。役割としては、自社の会計業務の責任者として会計を管理し、決算書類などに署名したりします。つまり、会社の財務にもある程度責任を持つことになります。設立後、すぐに雇えないケースもありますので、実務上は直接雇用をせずに、会計事務所に委託する企業もあります。

チーフアカウントの資格は、経済学部や会計の専門学校や大学卒業後、2~3年程度の実務を経験すれば、1万円程度で受験可能な資格です。合格率も約50%と高いので、すべての有資格者が十分な会計税務の知識を持っているというわけではない点が留意点です。よって、自社で採用する際は顧問先の会計事務所に面談に参加してもらい実力を判断してもらうのが良いかと思います。

 

  1. 財務諸表(F/S)

主に、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)で作られています。すべての外資企業は、決算日から90日以内に政府当局に法定監査を受けた財務諸表の提出をします。

 

  1. 会計帳簿

会計関連書類の保管期間が決まっています。

・会計帳簿や財務諸表の作成に直接使用しない書類については5年間保存

・会計帳簿や財務諸表の作成に直接使用する書類については会計年度末から10年間保存

証憑書類についての作成や管理、保存方法に関しては法令で規定されており、不備があると税務調査等の際に追徴課税になりますのでご注意ください。

 

  1. 会計のフォーマット

紙のみでなく、データでの保管も可能です。しかし、税務調査等で提出が求められた場合、実務上、紙出しして提出することになります。

 

  1. 固定資産

耐用年数が1年以上で取得価額が3,000万ドン以上、将来にわたって経済的便益が見込まれる資産は、固定資産として計上されます。減価償却は、定額法、定率法、生産高比例法が認められています。定率法、生産高比例法の使用は一定の要件を満たす必要がるので、実務上は定額法が用いられることが多いです。

また、費用が発生後、それが複数の期間にまたぐ資産の場合には、一度前払費用として計上します。取得価額が3,000万ドン未満もしくは、使用期間が1年未満であっても、短期前払費用もしくは長期前払費用として資産計上します。これを耐用期間で均等に償却します。

 

  1. その他

ベトナムでは、営業利益の中に営業外損益が入っています。支払利息や為替差差損益等も営業利益の中に入ってしまっているので、本業の利益が見えにくい点が注意点です。

 

次回は、「ベトナム法人の漠然としているお金の流れを把握するには」というテーマでお話しできればと思います。

 

弊社では、皆様の会社で行っている会計税務業務のレビューサポートや会計業務の見直しサポート、財務レビューサポー等が可能です。上記に関するご相談、受け付けております。お気軽にお問い合わせください。


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東京コンサルティングファーム
ベトナム ハノイ
花嶋 拓哉


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