こんにちは、ベトナムのハノイ駐在員の浅野です。
今回のブログも前回から引き続きベトナムとフィリピンの比較をしていきたいと思います。
今回は、日系企業の投資先として見た場合のベトナムとフィリピンの比較をしていきます。
まず、現状の日系企業の進出状況ですが、ベトナムは、商工会議所加入社数ベースで、ハノイ約450社、ダナン約50社、ホーチミン約550社となっており、合計すると約1,000社となっています。進出の企業の業種を見てみると約70%が製造業の進出となっています。フィリピンを見てみると、日系企業にとってはあまり進出のイメージがありませんが、こちらも1,000社を超えています。やはり、製造業の進出が多くなっています。
日系企業の進出の傾向をみると、ベトナムは、ここ最近一気に投資ブームがきたといえます。2011年の進出企業数も208社で、過去最高の進出企業数を記録しています。フィリピンは、増減を繰り返しながら着実に進出企業数を増やしてきているという印象があります。2011年には、ブラザー工業、村田製作所、キャノンがフィリピンへの大型投資を決めており、今後それら大手企業の大型ベンダーの投資が続いていくものと思われます。
次に日系企業がそれぞれの国に進出するにあたってのコスト比較をしていきたいと思います。Jetroが2012年に発表している「アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較」から抜粋しています。ハノイとマニラの月毎の平均賃金の比較をしていきます。ワーカー(一般工)は、ハノイが111USD、マニラが325USD、エンジニア(中堅技術者)は、ハノイが297USD、マニラが403USD、中間管理職は、ハノイが713USD、マニラが713USD、法定最低賃金は、ハノイが95USD、マニラが153USDとなっています。一見このデータのみを見てみると人件費にかかるコストはマニラの方が高いという印象を受けますが、実際の状況は、ベトナムは高いインフレ率により賃金が毎年上昇を続けています。一方、フィリピンは賃金の上昇率はその他の国と比較しても低い水準となっています。雇用の状況をみても、ベトナムでは地域によっては、人材が不足してきており、高い離職率と併せ、人材の確保が課題となってきています。フィリピンは、失業率が高いため、優秀な人材が確保し易く、離職率も低いといった状況となっています。
次回も引き続き、ベトナムとフィリピンの投資環境についての比較をしていきたいと思います。