こんにちは。ハノイ拠点の小瀬です。

第4〜7回でFCTの"1階"にあたるCIT(法人所得税)を一通り解説しました。今回からは"2階"のVAT(付加価値税)編に入ります。初回となる本号では、VATの計算式と、外国契約者に用いる「直接法」の仕組みを、CITとの違いを意識しながら整理します。

まず押さえる、VAT特有の2つの性格

① 対象になるのは原則「サービス部分」。物品そのものは輸入時のVAT(輸入VAT)で課税済みのため、外国契約者VATが狙うのは、ベトナムで提供・消費されるサービス(役務)の部分です。

② 仕入VATを控除できない。通常のVATは「売上VAT − 仕入VAT」で差引計算しますが、直接法では仕入VATの控除ができません。売上に率を掛けた額が、そのまま納付額になります。

1. VATの計算式(直接法)

外国契約者に対するVATは、CITと同じく「売上 × 率」の形で計算します。

計算式

納付すべきVAT = VAT課税対象売上 × 売上に対するVATパーセンテージ率

VAT課税対象売上は、外国契約者が受け取るVAT対象のサービス等の総売上(税額控除前)で、ベトナム側が立替払いした費用も含みます。契約がネット(VAT抜き)で定められている場合は、CITと同様にグロスアップします。

グロスアップの計算式

VAT課税対象売上 = VATを含まない売上 ÷ (1 − VATパーセンテージ率)

※ 重要:直接法を用いる外国契約者・外国下請業者は、契約履行のために購入した物品・サービスの仕入VATを控除できません。この点が、仕入控除を前提とする通常のVAT(控除法)との決定的な違いです。

2. 物品とサービスの切り分け

ベトナム国内の地点で引き渡される物品や、設置・試運転・保証・メンテナンス・交換などのサービスを伴う物品の場合、物品の価値は輸入VATのみの対象、サービスの価値が外国契約者VATの対象となります。

ただし、物品とサービスの価値を個別に識別できない場合は、契約全体に対してVATが計算されます。第7回のCITで見た「価値を識別できるか」の論点は、VATでも同じように効いてくる、ということです。

CITとの違いを一枚で

共通:どちらも「課税対象売上 × 率」。ネット契約はグロスアップ。立替費用は売上に含む。

VAT特有:対象は主にサービス部分(物品は輸入VAT)。そして仕入VATを控除できない。

3. 具体例で確認

例:外国企業が、ベトナム企業にVAT対象のサービスを提供し、契約で手取り9,500万VND(ネット、率5%と仮定)と定めた。

→ VAT課税対象売上 = 9,500万 ÷ (1 − 0.05) = 1億VND。VAT = 1億 × 5% = 500万VND。ベトナム側がこの500万VNDを源泉徴収して納付します。

※ 本例の率5%は説明用の仮定です。業種別のVAT率の一覧(物品分配1%・サービス5%など)は、次号(第9回)で扱います。

今回のキーポイント

・ VATも「課税対象売上 × 率」。ネット契約はグロスアップする。

・ 対象は主にサービス部分(物品は輸入VATで課税済み)。

・ 直接法では仕入VATを控除できない(控除法との決定的な違い)。

次号(第9回)では、VATの業種別パーセンテージ率の一覧と、国際輸送・リースなどの特定ケース、さらに石油・ガス契約者に適用される特則を整理します。VAT編の実務的な詰めの回になります。

免責事項
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