こんにちは。ハノイ拠点の小瀬です。

前号(第4回)では、外国契約者へのCITが「利益ではなく課税対象売上に業種別率を掛ける"みなし課税"」であること、そしてその率が「通常のCIT率20% × その業種の想定利益率」を畳み込んだものであることを解説しました。今回は、その要となる業種別のパーセンテージ率を一覧で整理します。シリーズ中、実務で最も参照頻度の高い回です。

この号の使い方

下表は、政令320/2025号 第12条第3項(および通達20/2026号 第7条第5項)に定めるCIT率の早見表です。右端に、第4回で示した「率 ÷ 20% = 想定利益率」を併記しました。率の"高い・低い"が、その業種の利益率をどう見込んでいるかの裏返しであると分かります。

1. 業種別CIT率 早見表

業種 課税対象売上に対するCIT率 想定利益率
サービス 5%(レストラン・ホテル・カジノ管理サービスは10%) 25%
物品に付随するサービス(価値を個別に識別可能) 物品部分:1%/サービス部分:5%(識別できない場合は2%) ―
ベトナムでの物品の供給・分配 1%(保税倉庫等で販売される輸出用生産・加工向けの原材料等は非課税) 5%
ロイヤルティ 10% 50%
航空機・船舶のリース 2% 10%
掘削装置・機械・設備・その他の輸送手段のリース 5% 25%
貸付利息 5% 25%
証券移転・海外再保険 0.1% 0.5%
デリバティブ金融サービス 2% 10%
資本移転 2% 10%
建設・設置(資材/設備の価値を個別に識別しない場合) 契約全体の2%(資材等を全額下請けに出しサービス部分のみ実行する場合は5%) ―
輸送およびその他の活動 2% 10%
※ 出所:政令320/2025号 第12条第3項、通達20/2026号 第7条第5項。「想定利益率」は率 ÷ 20% で算出した参考値で、法令に明示された数値ではありません(複数率・条件付きの業種は「―」)。0.1%はベトナム語原文の「0,1%」に対応します。

2. 読み解きのポイント

率が高い=利益率が高いとみなされる業種。ロイヤルティ10%(想定利益率50%)が最も高いのは、原価がほとんど乗らず利益率が高いとみなされているためです。逆に、物品の供給・分配1%(想定利益率5%)が低いのは、薄利の物販が前提とされているからです。この"みなし利益率"の目線を持つと、なぜ業種でこれほど率が違うのかが腑に落ちます。

「複数率」「条件付き」の業種に注意。物品に付随するサービスや建設・設置は、価値を個別に識別できるか否かで率が変わります。識別できれば部分ごとの率、できなければ一括率(多くは2%、ただし条件により5%)が適用されます。この"識別できるか"の判断は第7回(複数事業が混在する契約)で詳しく扱います。

3. 具体例で確認

例:外国企業が、ベトナム企業にソフトウェアの使用許諾(ロイヤルティ、率10%)を課税対象売上2億VNDで提供した。→ CIT = 2億 × 10% = 2,000万VND。同じ2億VNDでも、これがサービス(率5%)なら1,000万VND、物品の分配(率1%)なら200万VNDと、業種区分によって税額が大きく変わります。だからこそ、契約内容がどの業種に当たるかの見極めが重要になります。

今回のキーポイント

・ CIT率はサービス5%・物品分配1%・ロイヤルティ10%など、業種で大きく異なる。

・ 率の高低は「想定利益率(率÷20%)」の裏返し。

・ 物品付随サービス・建設は価値を識別できるかで率が変わる(詳細は第7回)。

次号(第6回)では、この率を掛ける土台となる「CIT課税対象売上」を、下請契約・機械リース・国際輸送など、実務で算定方法が特殊になる個別ケースについて整理します。

免責事項
本ブログは、2026年8月12日時点で有効なベトナムの法令に基づき、一般的な情報提供のみを目的として作成されたものであり、特定の取引・契約に関する法的助言や税務助言に代わるものではありません。個別の事案への適用にあたっては、必ず原文法令および適用時点の改正・追加規定をご確認いただくとともに、当社までご相談ください。本資料の利用により生じたいかなる結果についても、当社は責任を負いかねます。