ベトナムで事業を展開する日本企業や現地法人にとって、税務申告の修正期限ルールは経営リスクに直結する重要なテーマです。2026年7月1日より施行された政令 Decree 252/2026/NĐ-CP により、従来の「10年」から「5年」へ修正申告の期限が短縮されました。本記事では、この変更点と現地法人がとるべき実務対応を解説します。

1. 修正申告の期限:10年から5年へ

Decree 252 第12条は、納税者が提出済みの税務申告書に誤り・漏れを発見した場合の修正申告について規定しています。従来の税務管理法(2019年法)のもとでは、納税者は税務調査・検査の決定が出されていないことを条件に、申告期限から10年以内であれば修正申告を行うことができました。

これに対し、2025年税務管理法およびDecree 252の施行(2026年7月1日)により、この期限が10年から5年に短縮されました。すなわち、誤りのあった課税期間の申告期限から5年を経過すると、原則として修正申告を行うことができなくなります。

この短縮の対象となるのは、次のようなケースです。

  • 納付すべき税額その他の徴収額が増加する場合
  • 既に適用された免税・減税・還付の額が減少する場合
  • 繰り越されるVAT仕入税額控除が減少する場合

2. 5年経過後はどうなるか

5年の期限を過ぎると、納税者は当該課税期間の申告書について修正申告を行うことはできなくなります。ただし、修正申告ができなくなった場合でも、納税者が発見した誤りについて税務当局に説明する権利は残されています。つまり、5年を過ぎた誤りは「訂正」での是正はできないものの、「説明」で税務当局に申し出ることは可能です。

3. 期限短縮の趣旨

この期限短縮は、納税者による自主的な修正申告の権利と、税務当局によるリスクベースの調査・違反是正のニーズとの間でバランスを取ることを目的としているとされています。

なお、修正申告の制限は、税務義務の確定に関する法令違反の疑いで調査中の納税者や、既に刑事事件として起訴決定が出ている納税者に対して重点的に適用されるものとされており、通常の納税者による自主的な誤りの発見・是正を過度に制約する趣旨ではないとされています。

また、税務調査・検査の決定が既に出されている場合の修正申告は、引き続き2025年税務管理法第12条の規定・原則に従って行う必要があります。

4. 実務上のポイント

  • 過去の申告内容に誤りの可能性がある場合は、5年の期限内かどうかをまず確認する必要があります。
  • 期限が近い、または既に経過している可能性がある案件については、修正申告ではなく説明資料の提出という選択肢も含めて、早めに対応方針を検討することが望ましいと考えられます。
  • 税務調査・検査の決定が出された後は対応の枠組みが異なるため、決定が出る前に自主点検・修正を行うことの重要性は、従来以上に高まったといえます。
出典:Nghị định 252/2026/NĐ-CP 第12条(2026年6月30日公布、2026年7月1日施行)
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