皆さんこんにちは。東京コンサルティングファーム ベトナム拠点の清水です。今回は、2026年に入りベトナム税務当局による指摘が急増している「外国契約者税(FCT)」の税務調査の最新動向と、日系企業が注意すべき実務上の落とし穴について解説します。
1. 外国契約者税(FCT)とは?(おさらい)
外国契約者税(Foreign Contractor Tax:FCT)とは、ベトナム国内に恒久的施設(PE)を持たない外国法人(日本の親会社など)が、ベトナム企業との取引においてベトナム国内で生じた所得に対して課される源泉徴収税のことです。
主に「付加価値税(VAT)」と「法人所得税(CIT)」の2つの要素から構成されており、取引区分によって税率が細かく定められています。ベトナム現地法人が海外送金時等に源泉徴収して、代わりに申告・納付する義務を負います。
| 主な取引 | 税率の目安 |
|---|---|
| コンサルティング・管理サービス | 約10%(VAT 5% + CIT 5%) |
| ローン利息 | 5%(CIT 5%・VAT非課税) |
2. 2026年における税務調査の厳格化・最新トレンド
近年、ベトナム税務当局は税収確保の観点から外国契約者税(FCT)の徴収を一層強化しています。2026年の税務調査における最新のトレンドとして、以下の項目に対する指摘が非常に厳格化しています。
- 日本の親会社からの「経営指導料(マネジメントフィー)」
- グループ間の「ITシステム利用料・ソフトウェアライセンス料」
- 機械設備の輸入に伴う「技術サポート・据付指導料」
特に、実態としてベトナム現地法人がサービスを享受しているにもかかわらず、「これは単なる経費の立て替えである」「物品の売買に過ぎない」と独自に判断し、FCTの申告を漏らしてしまうケースが後を絶ちません。
3. 日系企業が陥りやすいFCTの落とし穴と注意点
FCTに関する実務において、日系企業が最も陥りやすい問題点として「契約書の記載不備」が挙げられます。
FCTは原則として、契約金額に税金が含まれているか(グロス契約)、含まれていないか(ネット契約)によって税金の計算方法が大きく異なります。日本の親会社と契約を結ぶ際、税負担の所在を契約書に明記していなかったために、税務調査時に想定外の税額や延滞税(ペナルティ)を課せられるトラブルが多発しています。
Q. 親会社から無償でシステムを借りている場合でもFCTは発生しますか?
A. 原則として無償提供であればFCTは発生しません。しかし、実態として他の取引価格にシステム利用料が上乗せされていないか等、税務当局から厳しく移転価格税制の観点も含めて追及されるリスクがあるため、契約実態と証憑を整合させることが重要です。
Q. 日本の親会社に対するローン利息の返済についてはどうでしょうか?
A. 日本の親会社に対するローン利息の返済も、原則として外国契約者税(FCT)の課税対象となります。この点は実務上で非常に申告漏れが多い項目の一つであり、税務調査でも重点的に確認されるポイントですので、送金前に正しく判定・申告を行うよう十分な注意が必要です。
4. 最後に
FCTは判断基準が非常に複雑であり、税務調査において調査官の裁量によって指摘内容が変わることも珍しくありません。指摘を受けてからの対応では多額の罰金が発生する恐れがあるため、事前の契約書レビューや、適切な課税対象の判定が不可欠です。
弊社では、日本の親会社との取引におけるFCTの適正性レビューや、各種契約書の作成サポート、税務申告の代行まで一貫して行っております。「現在の取引でFCTが漏れていないか不安だ」「新たに親会社からサービスを導入する」といったご相談があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。
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本記事は、執筆時点(2026年8月13日)の法令・実務情報等に基づいて作成しております。法令改正や行政運用の変更等により、内容が変更となる場合があります。
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