こんにちは。ハノイ拠点の小瀬です。

ベトナムにおいてビジネスを展開する企業にとって、外国人従業員の適切なビザおよび労働許可証(ワークパーミット)の取得は、コンプライアンス上極めて重要な課題です。2020年労働法および関連政令(2025年8月に施行された政令第219/2025/ND-CP号など)に基づき、外国人労働者がベトナムで就労するためには、一定の要件を満たす必要があります。

本ブログでは、外国人労働者の職位区分のうち、特に「管理者(Manager)」としてワークパーミットを取得・更新する際の法的要件、および実務上の留意点について一般的な観点から解説いたします。

1. 外国人労働者の就労条件と職位区分

ベトナムで就労する外国人労働者は、満18歳以上で完全な民事行為能力を有すること、健康状態が就労に適していること、犯罪歴等の欠格事由がないこと、そして原則としてベトナムの権限ある機関が発給した労働許可証を有していることが求められます。

労働許可証の申請にあたり、外国人労働者の職位は以下の4つに大別されます。

職位 主な定義と要件
管理者
(Manager)
企業法第4条第24項に定める企業を管理する者、または法令に定める機関・団体の長もしくは副長。会社定款に定めるその他の管理職も含まれます。
業務執行取締役
(Executive Director)
企業の支店、駐在員事務所、事業所の長、または機関・企業の一分野を直接管理する長であって、予定する職位に関連する分野で3年以上の経験を有する者。
専門家
(Expert)
大学以上の学位等を有し、予定職位に関連する2年以上の実務経験を有する者。または関連分野の学位を有し、1年以上の関連経験を有する者(特定分野等の場合)。
技術者
(Technical Worker)
1年以上の訓練を受け、予定職位に関連する2年以上の経験を有する者、または予定職位に関連する3年以上の実務経験を有する者。

2. 「管理者(Manager)」ポジションの法的要件と特徴

「管理者」の職位は、専門家や業務執行取締役とは異なる特有の要件が定められています。

大学学位および実務経験要件の免除

法令上、「専門家」のように特定の大学学位や、「関連する」実務経験の具体的な年数は、「管理者」に対しては明示的に要求されていません。

企業法および会社定款との整合性

「管理者」としての最も重要な要件は、当該個人が管理職に適正に任命されており、その地位が会社定款および関連する任命決定によって明確に裏付けられていることです。「管理者」には、所有者、社員総会議長、取締役会会長、取締役、総取締役などが含まれます。

3. 実務上の留意点:複数名の「管理者」任命と雇用必要性の証明

事業の拡大等に伴い、同一企業内で複数名の外国人を「管理者」として雇用したいと考えるケースがありますが、以下の点に注意が必要です。

① 同一企業内での「管理者」の人数上限

現行の規定(政令第219/2025/ND-CP号や労働法)の下では、同一企業内において「管理者」の職位で労働許可証を発給しうる外国人の人数について、定められた上限は存在しません。2名以上の外国人が同一企業において管理職の地位を兼任することを禁止する規定もありません。

しかし、会社定款が対象となる管理職(例えば、取締役や副取締役など)の職位を定めており、かつ会社が有効な任命決定を適正に発行していることが前提となります。定款に定めがない場合、管理者の地位を裏付ける法的根拠が存在しないとみなされる可能性があります。

② 役割の明確化と合理性の証明

当局は、管理職の妥当性や、外国人労働者を雇用する企業側の必要性を審査する場合があります。複数名の管理者を雇用する場合、各個人の役割、機能、および責任範囲を明確に区別し、特定する必要があります。これらの役割は会社定款に反映され、申請情報と整合している必要があります。

また、企業の事業活動の内容、規模(店舗や工場などの事業所展開)、および人員構成(従業員数や組織図)全体に照らして、当該外国人を雇用する必要性が合理的に説明されなければなりません。

③ 事前のベトナム人労働者募集要件

外国人労働者を雇用する場合には、労働許可証の申請書提出の少なくとも5日前までに、当該外国人労働者が就く予定の職位について、ベトナム人労働者の募集を通知していなければなりません。適切なベトナム人労働者を採用できなかった場合に限り、外国人労働者を雇用する必要性についての説明を提出することができます。これは、現在の従業員数にかかわらず必須の要件です。

4. ワークパーミット申請の必要書類(管理者向け)

管理者の職位で労働許可証を申請する場合、一般的に以下の書類一式が必要となります(政令第219/2025/ND-CP号等の規定に基づく)。

  • 外国人雇用必要性の説明書:雇用主が作成する書類(様式第03号を使用)
  • 健康診断証明書、有効なパスポート、犯罪経歴証明書(無犯罪証明)
  • カラー写真2枚:4cm×6cm、白背景、正面向き、脱帽・眼鏡なし
  • 管理者であることを証明する書類:会社定款および管理職に関する任命/異動決定書など
  • 雇用形態を証明する書類:企業内転勤(外国の雇用主からの派遣状および12か月以上の継続雇用確認書)、契約履行、サービス提供など、状況に応じた証明書類
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本記事は、執筆時点(2026年8月12日)の法令・実務情報等に基づいて作成しております。法令改正や行政運用の変更等により、内容が変更となる場合があります。
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